kumimamaさん

イタリアの大学への正規留学について

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19歳の息子がイタリアの大学で建築を学びたいと言っています。ミラノ工科大学が英語で授業をしているとの情報を得た為です。
息子は現在はカナダの大学で学んでいるのですが、その大学には建築学部がありません。カナダ国内もしくは英語圏の他の大学への転入も考えたのですが、イタリアの大学の授業料がとても安く、またヨーロッパにも興味があるために魅力を感じている様です。
色々調べたところ、イタリアの大学は中退率が高く、卒業するのがとても大変なのかと私は心配です。また試験も独特で口頭で試験をすると聞きました。
イタリアの大学への留学生のブログを見ると、大抵交換留学生です。日本人がイタリアの大学を卒業するのは大変でしょうか?解る範囲で教えて頂けると助かります。

2021年3月25日 14時50分

カントナさんの回答

ミラノ在住のロコ、カントナさん

今頃って感じですが、現役のミラノ工科大生として、私の経験がお役に立てればと思い、回答いたします。

まず、私の経歴を紹介いたします。
私は高校卒業後に現役で日本の国立大学に入学し、1年間建設工学を学んでいました。その後の1年間はアルバイトで留学のための資金準備をし、20歳の時にミラノ工科大に合格。(英語コース)
学部は3年でストレート卒業し、現在は同大学院で学びつつ、Comoの建築事務所で働いております。

ミラノ工科大はレンゾピアノやアルドロッシといったプリツカー賞受賞者をはじめ、著名な建築家を何名も輩出した大学です。またQS世界ランキングでも世界10位に位置しています。そのためネームバリュー、学歴という点に置いては建築界最高峰でしょう。

ここからは、入学前、入学後、卒業後という3点について私の経験と質問への回答していきます。

入学前

私は大学を含め全て公立の学校に通い、特別な英語教育も全く受けてない人間でした。また、かなり理系に偏った勉強をしたため、英語は1番の苦手科目でした。
大学入学後は独学で英語を勉強し、なんとかTOEICはな850点取得しましたが、英語を話すことは殆ど不可能。
ミラノ工科大の入学試験は通過しましたが、順位は下から3番目というギリギリの合格でした。

私のような英語力でも通過できる程度の試験です。カナダに在住ということなので英語はかなり堪能だと推測します。入学試験の対策をすれば合格は決して難しくはないと思います。

入学後

入学当初は英語にかなり苦労しました。周りの学生は皆英語に堪能です。授業だけでなく、友人とのコミュニケーションも難しく、英語をしっかりと話せるようになるのに半年以上もかかりました。
しかし、前述した通り私は3年間ストレートで大学を卒業できました。この理由は友人と自身の努力以外にありません。まず、私は素晴らしい友人達に恵まれました。英語の上達だけでなく、課題や卒論を助け合えたことで達成することが出来ました。また、英語ができない代わりに、BIMやAdobeなどのソフトウェアスキルを磨くことで設計課題の授業でも首席の評価を得られるようにもなりました。

日本の大学、イタリアの大学両方を経験した私の見解ですが、イタリアの大学の方が圧倒的に勉学で忙しく、プレッシャーを感じるでしょう。しかしその分学べることも多く、ソフトウェアスキル、コミュニケーション能力を上達することができました。

懸念されていらっしゃる口頭試験についてですが、日本人にとってあまり馴染みのない試験方法ですよね。しかし、そこから学ぶことはとても多いので、あまり臆することなく挑戦してみてはどうでしょう。特にミラノ工科大では試験を何度も受けることができます。実際私も一年時の建築史の試験に3回挑戦し、3度目でやっとパスすることができました。2年目以降では口頭試験にも慣れ、1回目で試験をパスできるようになりました。
自分の思考を英語で教授に伝えるというトレーニングはとても貴重な経験です。

卒業後

イタリアの大学を卒業してもなかなか仕事が見つからないという回答が散見しましたが、正直ミラノ工科大を卒業すればそれは杞憂です。
私自身、大学院在学中ですが、イタリアの建築事務所でパートタイムで働き、給料もいただいております。また、フルタイムのオファーもいくつかいただいたことがあります。
私の友人も何人かギャップイヤーで1年間働いていますが、皆すぐに就職先が見つかり、ミラノだけでなく世界で活躍しています。

PolimiのCareer Serviceというサイトではこのような就職事情を知ることができるのでぜひ確認してみてください。

最後に

私にとってミラノ工科大に入学を決めたことは人生最大の転機で、また人生最高の決断だったと自負しています。

しかし、私が最後に伝えたいのはこのような厳しい大学生活に屈してしまう学生もとても多いという事実です。多くの学生が精神的な病を引き起こしてしまうため、大学内に精神科や相談所があるほどです。私の友人は大学2年次の1番つらい、忙しい時期に自殺をしてしまいました。

私の見解ですが、例えミラノ工科大に入学しても特に卒業について深く考えることなく、楽しみながら勉学に励むのが1番だと思います。若造の僕が言うのもなんですが、人生は長いので悠長に大学生活を満喫して、社会、世界で活躍できるような人材になれば良いですよね。

長文失礼します。息子さんのご健闘をお祈りしてます。

2022年6月20日 5時22分

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