チューリッヒの旅行ガイド情報

スイス・チューリッヒの物価事情と節約対策〜値段比較、外食費も調査しました

【スイス・チューリッヒ在住者執筆】スイスの物価が高いのは有名です。住んでいる私にとってもスイスはあらゆる面で高くつきます。しかし、スイスの自然の美しさや治安の良さ、生活水準の高さを思うと、まあ納得することもあります。それでも観光で来られる人はスイスの物価の高さに驚くことも多いことでしょう。例えばマクドナルドでビッグマックセットを頼むと一人1600円もするのです。日本の2倍以上の値段です。物価が高いのでスイスへは旅行できない......と杞憂されてませんか。大丈夫! 色々探してみたらお手頃なものもたくさんあるのです。
例えば果物やチーズなどの食品類や、ワインなどの嗜好品、それから豪華なオペラやコンサートなどの娯楽費も日本より安い場合もたくさんあります。日本も物価は高いけれど、日本人なら知っているお買い得情報ってありますよね。それと同じこと。知っていれば儲けもの!同じものでも買う場所と時間で大きな違い。ここではスイスでも安く旅行ができる節約マル秘情報をじっくり解説していきます。節約上手でスイスを満喫しましょう。

一言で「スイスの物価は高い」と言っても、それって旅行者にどれだけの影響があるのでしょうか。物価が高いのは何故なのかを理解し、それでもお得な情報を集めていけば、スイスはグッと近く感じるはず。物価が高い国で世界の物価ランキングが上位の街であっても、スイスで家や土地を買うわけでも、スイスの保険料を払い続けるわけでもないので、工夫次第で確実にお得に過ごせる道は見つかります。何がお得で何が高くつくのかをしっかり頭に叩き込んでおけば、スイスの物価もそれほど感じずにいられることでしょう。

スイス・チューリッヒの物価

それではスイス世界でのランキングで表すとチューリッヒの物価はどのくらい高いのでしょうか。そもそもスイスはどうしてこんなに物価が高いのでしょう。理由を調べてみると納得することが多く、それによっていつも美しく保っている景色や街並み・世界でも有数の治安の良さ・医療の信用度など多くの恩恵を受けているのも事実です。

2018年都市別世界生活費ランキング(EIUの調査)

2018年のコストランキングでは、スイスの2都市がベスト10に入っています。チューリッヒは東京に次いで3位と上位にランキングしています。

順位 都市名
1位 香港 中国
2位 東京 日本
3位 チューリッヒ スイス
4位 シンガポール シンガポール
5位 ソウル 韓国

スイスの首都ベルンは今年は10位に入っています。

参考記事 Mercer

スイスの物価はどうして高いの?

それにしてもスイスの物価はどうしてこうも高いのでしょう。主な理由を三つ挙げてみました。スイスの物価が高いのは、高い生活水準を保つために必要不可欠であることがわかります。そう考えると物価の高さもそれほど憎めないですね。

理由1 国の位置

スイスはヨーロッパ大陸の中央より少しだけ左側に位置しています。ドイツ、リヒテンシュタイン公国、イタリアとフランスに囲まれていて、海はありません。さらに国土の大半が森林や山岳地帯で占められており、4000級のアルプスの山が48峰もあります。この地理的不便さから、商品の輸送費、他国からのエネルギーの供給費用、自国防衛のための軍事費などが物価に影響しているのです。

理由2 国の信用度

誰もが知っているようにスイスは永世中立国。外交的にも経済的にも安定していることから、他の国からの信用度が高く、守秘義務が世界一堅いと言われているプライベートバンクが多くあります。それによって外貨が多額に流れ込んで、スイスの財政を安定させています。その信用度維持のために、設備や人材維持のための投資が必要なことが物価を上昇させてしまうのです。さらにその信用度はスイスフランを高くしてしまうのです。

理由3 環境や安全費

スイスは資源が少ない小さな国です。そしてスイスの産業は環境保全が大きく影響します。観光や農業の発展のためにも、大きな予算を惜しまずかけて、食料の安全性や環境の保護に力を入れています。それが物価を上昇させる原因にもなります。

スイスは何が高い? 

それでも旅行者には物価の高い国への旅行は厳しいところです。しかし物価が高いと言えど、全てにかけて値段が高いわけではありません。何が高くて何が安いのかさえ把握しておけば、観光者にとってスイスの物価は他のヨーロッパの国と大して変わらないのです。さてまず始めに旅行者にとって何が高いのかリストアップしてみました。

マクドナルドは世界一高い? 

そうなんです! スイスのマクドナルドの価格は世界一高いのです! 2019年の「ビッグマック価格ランキング」というものが公表され、予想通りスイスは世界で第一位でした。
ちなみに日本は23位。ビッグマック一個あたりの値段は日本が390円に対し、スイスは718円で、日本のほぼ二倍。だから、家族4人でマクドナルドでお食事となると1万円ほどかかってしまいそうです。ただ、スイスならではのラクレットチーズの入ったハンバーガーなどがありますので、話のネタに試してみるのもいいかもしれません。

参考記事 世界経済のネタ帳

鉄道料金が半端ではない!!

これは正直仕方がない話です。4000級の山峰が48もあるのですから、この土地に鉄道を引くためや、雪深い山奥の鉄道設備を最高の状態に整備・管理しておく為に多大な費用がかかっているのです。例えばチューリッヒからベルンまでの1時間ほどの旅だと鉄道代が往復で12000円ほどかかります。日本でなら東京から静岡まで新幹線で走った往復料金と同じ料金となります。日本の鉄道も決して安くはありませんが、スイスはさらに高いのです。

ランチセットでも3000円はかかる

日本のランチは素晴らしいですね。お冷は無料、ランチセットは1000~1500円でボリュームたっぷり。スイスもランチはディナーに比べると比較的安いですが、それでもランチセットは3000円ほどかかり、おまけに飲み物も注文すると4000円を超えてしまう時もあります。スイスのサービスランチセットは実際にはお得なサービス価格ではないのです。

タクシー代金も世界一高い

タクシーはとにかく高いです。世界のタクシー料金ランキングで一番高い都市はチューリッヒでした。これは世界88カ国のタクシーで3Km進んだ場合のタクシー代金を、「プライス・オブ・トラベル」という旅行専門会社が調査したもので、チューリッヒは3キロ走ると2400円前後かかり、世界タクシー料金ランキングで1位に。東京は17位で3キロで1100円前後。スイスの半額以内で済みます。スイスのタクシーでは時々メーターが付いていない場合もあり、また運転手に回り道されたという話も聞きます。ホテルのフロントでタクシーを呼んでもらって料金を前もって確認してもらうか、空港や駅の前のタクシー乗り場で待っているタクシーであっても乗る前におおよその料金を聞いておくことをおすすめします。

スイス・チューリッヒ旅行節約マル秘情報

さて、それでは物価の高いスイスで、少しでも安くそして快適に過ごすための節約の秘密をご紹介します。

季節と目的地を賢く選べばOK!

季節はいつがいい?

チューリッヒの繁盛期は5月〜10月。その中で比較的オフシーズンに近い料金で旅ができるのが6月と9月。もしくは冬のスイスも素敵です。観光客も比較的少なく、のんびりお得な旅行ができるでしょう。
それでも夏休みしか休めない......という方。日本の夏休みはスイスでも夏休みの真っ只中ではありますが、スイスの夏休みは7月初旬ごろから始まり、8月中旬までには学校が始まります。それで8月中旬〜終わりごろになると、旅行者には比較的お得なことになります。

目的地を変更

スイスの山はユングフラウヨッホやマッターホルンだけが特別なわけではありません。
例えばルチェルン の「リギ山」はスイス人の大好きな山です。ここなら15000円もかけて登山列車に乗らなくても、ローカルの登山電車・ロープウェイ・ケーブルカーを乗り継いで、最後はルチェルン 湖を遊覧する船もついたパッケージがとてもお得です。ハイキングもできて一日中素晴らしい景色が楽しめる豪華旅行となります。有名な観光地に観光客にまみれながら向かうことも一つの話の種ですが、スイスにはあちこちに素晴らしいところがたくさんあります。あなたのあなただけの素晴らしい、そしてお手頃な旅行をお楽しみいただけるはずです。

ちなみに、ユングフラウヨッホの登山鉄道は往復で15000円ほどかかりますが、朝一番の登山電車だと半額で乗れます。

ホテル

スイスバジェットホテルって知ってる?

スイスのホテルはやはり高い。高級ホテルなら500スイスフラン(約5万4350円)以上、三つ星あたりで150フラン〜300スイスフラン(約1万6000円~3万2000円)あたり。
そこでおすすめしたいのが「バジェットホテル」です。
その名の通りですが、バジェット(低予算)で泊まれるホテルを集めたサイトです。
スイスバジェットホテルは、一泊80スイスフラン(約8700円)〜泊まれるホテルをリストアップしています。下記のサイトで直接照会・予約ができます。
swiss charm hotelsホームページ

チューリッヒ駅近で綺麗なホテルご紹介

チューリッヒのホテルは一部屋4万円ほどする部屋が多いのですが、ここでは豪華さはなくとも綺麗、しかも駅近の便利なホテルをご紹介します。

ホテル名 住所とTEL 駅からのアクセス
Hotel Montana Zürich
ホテル モンタナ チューリッヒ★★★
Konradstrasse 39,8005 Zürich
(TEL 043-366-6000)
徒歩5分
Alexander Guesthouse
アレクサンダー ゲストハウス★★
Zähringerstrasse 16,8001 Zürich
(TEL 044-251-8203
徒歩7分
Leoneck Swiss Hotel
レオネック スイス ホテル★★★
Leohardstrasse 1,8001 Zürich
(TEL044-254-2222)
徒歩7分

交通機関

1ヶ月の半額チケットは便利でお得!

スイス人のほとんが持っている半額チケット「Half Fare Travelcard」。
1ヶ月使える半額カードで料金は120スイスフラン。これがあると、乗車券が全て半額で購入できます。長距離の電車に数回乗る人にはお得。これに加えてスイスファミリーカードを持っていると、6歳以上から16歳までの子供は親が同行であれば無料で乗車できます。
子供は一人につき一枚必要。一枚につき3500円なので十分元は取れます。

チューリッヒ市内観光には「チューリッヒカード」

料金

種類 料金 大人 料金 子供
24時間カード (1日券) CHF27 CHF19
72時間カード (3日券) CHF53 CHF37

特典
1. チューリッヒ市内のバス、トラム、ケーブルカーが乗り放題。
2. チューリッヒ空港やユトリベルク(Uetliberg)へも無料で移動可能。
3. チューリッヒ市内の博物館や美術館が無料または割引に。
4. 旧市街のシティツアーや様々なイベントの割引(最大50%オフ)

購入方法

チューリッヒ空港

  • 到着1、2のSwitzerland Infoの窓口で。(営業5:45〜23:30)
  • P2カーパークのサービスセンターにて。
  • 地下一回(Level1)のスイス鉄道SBBの窓口。

チューリッヒ中央駅

  • Tourist Information窓口で。
  • 自動券発売機でも購入が可能です。

スイス連邦鉄道(SBB)アプリで安いチケットがすごい!

SBB独自のアプリをダウンロードして利用日と旅行の区間をインプットしてみると、利用日によって時々とても安いチケットを購入することができます。一等席か二等席・片道か往復を選択する同じ画面の一番下のオプション(OPTION)を選ぶと、格安価格が掲示されます。変更が不可能、などの条件が合えばその料金で普通価格よりもかなり安く購入することができます。

SBBのダウンロード

「Coop」と「Inter Discount」が売り出す一日券がめちゃお得!

スイスのスーパーマーケット「Coop」や電気機器店「Inter Discount」が年に2~3度、スイスの鉄道一日券のセールをしています。決まった販売時期というのはありませんが、おおよそ春と秋頃にそれぞれ1ヶ月間ほど行われます。予約なしでもお店に直接行けば、在庫さえあればすぐに購入できます。
料金は49スイスフラン。半額チケットなどの特別な割引券を所有していなくても、旅行者であっても利用できます。しかも、そのチケットの使用可能時期内であれば、いつでも自由に使えます。「SBB Tageskarten」で検索してみてください。
日本でも購入できる「スイストラベルパス」は登山鉄道の料金は含まれないことが多く、割引利率は30%ですが、この一日券だと50%でさらにお得です。使用する当日に、駅にある下記の写真のような打刻機に差し込んで券面に利用日打刻をしてください。

レストラン

スイスの外食はヨーロッパの多くの国に比べると高いですが、それなりに工夫すればそんなに大きな差がなくなるかもしれません。楽しみにしていたスイス旅行、美味しいものを食べたいですよね。

レストランでは「水道水」

日本と違ってスイスでは食事と一緒にお水を持ってきてはくれません。普通は飲み物を注文するので、有料となってしまいます。もし「ミネラルヴァッサー」と注文すると有料のミネラル水が出てきます。その代わりに「ハーネンヴァッサー」を頼むと水道水が出てきて、料金は請求されません。スイスの水道水は美味しくてとても安全です。健康にも良いと国が奨励するほどなんです。どうぞ堂々と水道水を頼んでくださいね。水と言えば、スイスの子供達は水筒の水がなくなったら、街の中にある噴水(牧草地帯のものは家畜用だったりするので避けてください。)と公共の水道で綺麗な水を補充します。それほどスイスの水道水は安全で綺麗なんです。

ランチの方がずっと安い!

少し高級なレストランに挑戦したいなら、夜ではなくお昼ご飯に行くのはいかがでしょう。値段は半額ほどになったりします。チップも少しのお釣りの差額を渡すだけで済みます。勿論、日本に比べればランチセットでもスイスは高いのですが、ボリュームもそれほど変わらずに美味しいランチを夕食の半額ぐらいでいただけるかもです。

安くてボリュームたっぷり、スーパーのレストラン

スイスの「Migros(ミグロ)」や「Coop(コープ)」の大型スーパーマーケットにはセルフサービスレストランが付属しています。そこでお食事すればランチセットが1500円ぐらいで食べられます。水道水は無料で自由に自分で入れられるようになっています。そのほか、チューリッヒ駅の近くなら「Manor(マノール)」や「Jelmoli(イエルモリ)」というデパートの上階にもレストランがあり、デパートのわりにはお求めになりやすい料金で食事ができます。また、イタリア人の移民の多いチューリッヒでは美味しい本格的イタリアンがそれほど値段が張らずに食べられます。スイスはアジア系のレストランが高いのですが、タイ人の移民も多いチューリッヒではタイ料理などがランチ2000円前後で食べ放題というレストランもよく見かけます。


  

スーパーでお得な買い出し

たまにはスーパーで乾燥肉やパテ、焼きたての黒パンなどを買って近くの公園やホテルのお部屋で食べるのもいいのではないでしょうか。大手スーパーの「ミグロ」では「M Budget」の商品、「Coop」では「Prix Garantie」の商品が破格の安さで売られており、しかも品質も悪くないのです。季節の果物やチョコレート、ペットボトルの水も安く買い求めることができます。チーズやワインなども、日本よりかなり安く様々な種類のものを試せます。最近はドイツのスーパー「Aldi」や「Lidle」が進出してきて、格安の商品に驚かされます。

【ミグロ】

【COOP】

観光

チューリッヒ美術館は水曜日に!

1987年に始まり、長い歴史を誇るチューリッヒ美術館は後期ゴシックやイタリアのバロック、オランダ絵画のレンブラントや勿論モネやセザンヌ、ゴッホやゴーギャンなどのフランス印象派の絵画やピカソ・シャガール・ミロ・ダリなどの抽象画家またはモダンアートまでそれぞれの時代を代表する名画の宝庫です。毎週水曜日は無料なので、是非立ち寄ってみてください。
またはチューリッヒ美術館・スイス国立博物館・リトルベルク美術館など多くの博物館や美術館は、トラベルパスを持っていればいつでも無料で入場できます。

チューリッヒ美術館

  • 住所
    • Heimplatz 1,8001 Zürich
  • 水曜日の営業時間
    • 10:00~20:00

本格的な音楽が無料で聴ける

チューリッヒを始め、スイスの町にある教会の中で秋や春頃にはよくコンサートが開かれます。無料でプロの方の演奏やプロの卵の演奏者、音楽関係の教師や本格的な音楽を堪能できます。各教会の掲示板に予定表が記してあったり、市庁舎の前の掲示板にポスターが貼っています。また、夏場になるとオーケストラの演奏を郊外で聴くチャンスもあります。

買い物

「KIOSK (キオスク)」で買うよりも「ミグロ」で購入!

上記で紹介したスーパー「ミグロ」。
例えばコカコーラの25mlのペットをミグロで買うと120円ぐらいなのに、KIOSKで買うと500円もかかってしまいます。これではレストランで飲むのと同じ値段です。チョコレートやガムなども同じこと。どんな小さな町でもたスーパーに行ったらお水などは買いだめしておいて、ホテルのお部屋においておく方がいいですね。

セールの時期は1月と7月、「Action(アクション)」デー

洋服や靴など季節に影響されるものは1月や7月ごろに大きなセールの波がやってきます。そのころに旅行中のかたは「ACTION」(アクション)と記してある商品に注目を。半額以上安くなることもあります。ところでスーパーマーケットでは毎週土曜日の夕方近くになるとセールが始まります。日曜日は駅構内以外のお店はほとんど閉まってしまうためです。

おすすめの手頃なお土産

  • チーズ
  • チョコレート
  • スイスワイン

日本に戻ったら会社の人や家族・友達にお土産を買って帰らなくてはいけませんね。チーズやチョコレートはやはりスーパーで買うと安く済みます。お土産のオススメは、チーズ・チョコレート(ミグロのチョコ「FREY」はとても手頃な価格ですが、とても美味しいです。)近頃人気の「ハーブ塩」(Swiss Alpine Herbs Salt)などもスーパーでたくさんの種類から選べます。ワインも安いので、スイス産の白ワインも自分のお土産にどうぞ。

まとめ

いかがでしたか?チューリッヒでのお得な過ごし方、しっかりマスターできましたか。スイスは物価が高いとよく言われますが、工夫次第では、他のヨーロッパの国とさして変わらないこともたくさんありましたね。日本と同じで高級ホテルに泊まり、高級レストランで食事をしたら、大変な金額になってしまいますが、どこにでもお得に利用できる抜け道はたくさんあるのです。皆さんもどうぞ工夫することを楽しみながら、チューリッヒを始めスイスで有意義な節約旅行をしてくださいね。