海外の働き方まとめ:国が抱える社会問題が働き方に隠れてる? 国際競争に悩む世界

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2019年1月は『海外の働き方』にまつわる話をお届けしました。ミャンマー、カタール、韓国、イタリア、タイ、各国の文化を通して見えてくる価値観はなに? 振り返ります。

「働き方」に揺れる現代日本。エコノミックアニマルとも呼ばれた時代はとうに過ぎ去り、終身雇用制度の斜陽化や非正規雇用の増加に伴いに、会社に頼らないそれぞれ個人が幸せの物差しを探しているように感じます。変革期にあるとも言えますが、海外ではどのような動きがあるのでしょうか? 調べてみると、日本と違った、それぞれが直面する難題が抱えつつ、どの国も国際競争への意識が垣間見えました。共通して言えるところは、「やっぱり日本は思い詰めて仕事しすぎ」なのかもしれません……??

 

ミャンマーに勤労学生が多いワケとは? 軍政が生んだ複雑な教育制度

https://traveloco.jp/kaigaizine/work-myanmar

ライター:板坂真季

ミャンマーの基礎教育期間は日本と異なり、6歳で入学する小学校が4年、中学4年、高校2年の10年間しかないのです。

ミャンマーでは18歳未満の子どもを企業が雇用することが禁じられており、冒頭に登場したような高校を卒業したての16歳の社員は厳密には法律違反ですが、事情が事情なだけに「働くな」とも言えず、社会的には黙認されています。

ミャンマーでは軍事政権の圧政に対抗して、1980年代後半に学生を中心とした民主化運動が激しくなりました。手を焼いた政府は1988年、ほとんどの大学を閉鎖。

女性たちが続々出勤中の朝のヤンゴン市役所。ミャンマーは公務員の男女平等が進んでおり、女性管理職も多い。

 

カタールの働き方とコネ社会~ある日本人公務員の一日~

https://traveloco.jp/kaigaizine/work-katar

ライター:福嶋タケシ

婚姻関係や血縁関係のない男女が同じ部屋に座ることが宗教上の観点から好ましくないとされるため、一部の官庁ではフロアや利用するエレベーターなど全て別個になっています。また銀行などには女性専用の入り口や窓口があり…

高卒で就職する人も多いのですが、彼らにとって憧れの就職先といえば、警察か軍隊。一族に警察や軍隊の幹部がいると、子供たちの何人かはそちら方面へ。これまたコネが絡んでくるわけですが…

就活という言葉とは無縁のコネ社会ではありますが、いつまでもエネルギー資源に頼ってばかりもいられないという危機感の高まりからか、近年では積極的に「自分のやりたい仕事」を求める雰囲気も感じるようになりました。

警察や軍隊は憧れの職業の一つ

 

韓国の就職は学歴・スペック重視、流行語で知る熾烈な事情。

https://traveloco.jp/kaigaizine/work-korea

ライター:吉村剛史

韓国では朝鮮時代、儒教を重んじていたことから学問が重視され、科挙の試験が行わなわれていました。そんなこともあり、今も学歴社会、とりわけ「学閥社会」としてその傾向が根強く残っています。

なかでも「インソウル(인서울、in Seoul)」と呼ばれるソウル市内の大学に入ることが世間的にも評価が高く、なかでもその頂点に位置している大学が「SKY」といわれるソウル大、延世大、高麗大です。

「38線(삼팔선、サムパルソン)」は、朝鮮戦争の休戦ラインに例えた言葉。38歳という年齢で結果を残しているかどうかで、その後の処遇が線引きされるというもの。そして45定(사오정、サオジョン)は…

大手企業や証券会社が多い、ソウル・汝矣島のビジネス街

 

職を得るためタダ働き? イタリアの就職難とゆるさを貫くメンタリティ

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ライター:鈴木圭

確かにイタリアでは「出社したらまずコーヒーブレイクから始める」「市役所の職員が窓口に並ぶ行列を残してランチに出かける」なんてのも日常茶飯事で、日本にはないある種の「ゆるさ」があるのも否定できません。

イタリアはリーマンショック以降、慢性的な不景気に見舞われていて、経済事情も就職事情もあまり恵まれているとはいえません。仕事を見つけるのは簡単ではないし、仮に見つかっても契約条件がよくないこともしばしば。

いつなくなるかわからない仕事に全力を尽くすよりも、家族との時間や自分の趣味に力を傾けるほうがよほど有益だと考えるのがイタリア人のメンタリティ。もちろん仕事を失わないために最低限のことはするけれど、あくまでお金を得る…

公共交通機関はさらなる待遇改善をもとめてストライキを起こすこともよくある。

 

「日本の強要」は悪手! 自由と故郷を愛するタイ人の働き方とは

https://traveloco.jp/kaigaizine/work-thailand

ライター:高田胤臣/ずんこ

日本人の場合、自身の両親や先輩など周囲の人が会社員であることが多く、子どものときからある程度「企業勤め」というスタイルを理解しています。それがタイの場合、バンコク出身者でも親が会社員であるケースは日本よりもずっと少ない…

飲食店などではその店の味があるにも関わらず、目を離すと我流の味つけにしてしまう料理人も少なくないそうです。しかしそれは彼らが、根強い個人主義と、誰にも縛られない自由な心があるからです。

ワールドスタンダードに変わらなければならなくなっています。「タイだから」が許されなくなりつつあるのです。今後大きく変わっていきますし、現に少しずつ変化は目に見えています。便利になる反面、そんなタイにはなってほしくないと…

屋台という起業のチャンスがタイは少なくないのでうらやましい。

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この記事を書いた人

ネルソン水嶋

ネルソン水嶋

ブロガー、ライター、編集者。2011年のベトナム移住をきっかけにはじめた現地生活を綴るブログ『べとまる』から『ライブドアブログ奨学金』『デイリーポータルZ新人賞』などを受賞を契機に、ライターに。2017年11月の立ち上げから2019年12月末まで、海外ZINEの編集長を務める。/べとまるTwitterFacebooknote

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