2018.04.16

『写ルンです』で韓国・ソウルと釜山を撮ってみた

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『写ルンです』で韓国のソウルや釜山を撮ってみると、都市部の歴史的建造物も古い街並みも、まるで本当に時間を遡ったかのように。あの「モルゲッソヨ像」も登場します。韓国ライターの吉村さんがご紹介。

 

一眼レフから自撮り棒、インスタグラムへ!

2000年代後半、とりわけ2010年前後までの韓国では一眼レフが人気に。街を歩くと20代前後の若者たちが、男女問わずニコンやキヤノンのカメラを首にぶら下げて観光スポットを歩く人を頻繁に見かけました。休日になると路地では街並みとウォールアートを撮影したり、国内旅行先では彼氏が彼女をモデルに見立てて、三脚を立てて本格的に写真を撮ったりする人も多かったのです。

日本ではその当時「カメラ女子」という言葉がまだ一般的ではなく、一眼レフといえば男性のカメラ愛好家や、中高年の趣味というイメージが強かったように思います。

セルカ棒(自撮り棒)のイメージ

しかし韓国ではスマートフォンが普及するにつれ、一眼レフを持ち歩く人はめっきりと減りました。日本より一足早くインスタグラムが広まり、2014年春ごろから韓国では「セルカ棒(셀카봉)」の名で「自撮り棒」が流行。SNSで広まることを意図したフォトジェニックなスポットも増えていきました。

 

韓国の街並みを「写ルンです」で撮ってみた!

そんな韓国の街並みを使い捨てカメラの「写るンです」で撮影してみました。「インスタ映え」するスポットももちろん多いですが、歴史を感じらせる路地もあちこちで見られます。

21世紀に突入し、早18年目を迎えた今年。アナログ感ある仕上がりが期待できる使い捨てカメラを使って、今の韓国をレトロな撮影にチャレンジしてみました。私が使い捨てカメラを使うのは、十数年前の京都への修学旅行以来。どのような写真が生まれるでしょうか?

 

「インスタ映え」の象徴的スポット、ZAPPANGI(ジャパンギ)

韓国の有名なフォトジェニックなスポットのひとつ、「ZAPANGI(ジャパンギ)」。ソウル・望遠洞(マンウォンドン、망원동)という下町にあるカフェです。「ZAPANGI」は、韓国語で「自販機」という意味なのですが、実はこのピンクの販売機の正体は、カフェのドアになっています。

このカフェの前や店内で写真を撮るのが人気。ひっきりなしに女性たちが訪れて写真を撮り、「#ZAPANGI」のハッシュタグをつけて、インスタグラムにアップします。韓国人だけでなく、世界中から観光客がやって来ます。

 

古きも新しきも。ソウルの街並み

ほぼすべてのコスメブランドが揃う明洞

明洞(ミョンドン、명동)はソウル屈指の繁華街であり、地元のショッピングスポットでもある一方、外国人観光客が多い繁華街。ほぼすべての韓国コスメブランドが揃うだけでなく、同じブランドのお店も複数あります。

明洞のメインストリートを横切る通り。『SKINFOOD(スキンフード)』や 『VDL(ブイディーエル)』、『ETUDE HOUSE(エチュードハウス)』の3軒の看板が見えますが、写真の左端もまたコスメショップ。さらに撮影者の後ろ側もコスメショップです。

韓国の繁華街や学生街にはコスメショップが乱立していますが、特に明洞は激戦区。店員さんが呼び込みをしていますが、その言語により、その時期にはどの国の観光客が多く訪れているのか、よくわかります。

 

日本建築が今も残るソウルの中心街

ちなみにこの明洞は、日本統治時代(1910~1945)に日本人が発展させた街。

街の中心を流れる清渓川の南のこのエリアは、朝鮮時代には「南村」と呼ばれており、没落した両班(貴族階級)が多く暮らしていました。その土地に日本人が移住するようになり、このあたりを「明治町」と呼びます。1930年代に建てられた百貨店、芸術劇場、銀行などの建物は現在まで残っており、今もなお使われています。

写真左の建物は大手デパート「新世界百貨店」ですが、もともとは1930年に建てられた三越百貨店の京城支店です。右は1935年に建てられた朝鮮貯蓄銀行の建物で、現在はスタンダード・チャータード銀行となっており、ソウルの街のなかに溶け込んでいます。

「写ルンです」で撮ると、重厚な建築がよりレトロに見えませんか?

そして明洞付近から見えるのは、ソウルのランドマーク、Nソウルタワー。「N」は南山のアルファベット頭文字に由来します。

時間は午後3時過ぎ。タワーの展望台の後ろから日の光が漏れ、「ダイヤモンド・ソウルタワー」の状態になっていたのですが、カメラではその様子を再現することはできませんでした。

 

朝鮮時代を感じさせるソウルの街並み

明洞から南大門市場を抜けると、ソウルを囲む城壁の大門の一つ、「南大門(남대문、ナンデムン)」があります。正式名称は「崇禮門(숭례문、スンネムン)」。1398年に建てられたソウルで最古の木造建築でしたが、2008年2月に放火され、その後2013年に再建されました。現在でも国宝1号に指定されています。

門の上部に描かれた龍の絵は、丹青(タンチョン、단청)という伝統的な彩色で描かれていますが、忠実に再現されたわけでなく、オリジナルに描かれてしまったことで話題となりました。

そして朝鮮時代から続く「鍾路(チョンノ、종로)」という大通りへ。当時は高官が大通りを通過するあいだ、庶民は身を伏せていなければなりませんでした。それを人々が不便に思い、「ピマッコル(피맛골、避馬コル)」という裏路地が発達したのです。

昔ながらの風情ある路地に、老舗飲食店が並んでいたりもしましたが、このような路地は再開発の対象となり徐々に消滅。今ではビルのなかに路地を模した新しい飲食店街が形成されています。

 

伝統が息づく仁寺洞は、レトロな撮影スポット

鍾路にも隣接する仁寺洞(インサドン、인사동)は、メインストリートや路地に骨董品店や土産物店などがあり、韓国の伝統が揃う場所。路地には韓国の伝統家屋、韓屋(ハノッ、한옥)が立ち並んでおり、そこで伝統茶屋や食堂が営まれています。

韓屋は住宅として使われますが、観光地だけに民家が少なく、観光客が気軽に路地に入り込み、風情ある写真を撮ることができます。韓服(한복、ハンボッ)という伝統衣装をレンタルして出歩けば、自撮りにも最適です。

伝統的な街も観光地化すれば、様々なお店が進出してきます。仁寺洞の景観を守るためにカフェやコスメショップはすべてハングルの看板。スターバックスコーヒー(Starbucks Coffee)もここだけはハングルで書かれています

 

日本食ブームで居酒屋が急増!

ソウルで最も若者たちに人気のエリア、弘大(ホンデ、홍대)。芸術系の学科が多い弘益大学校の学生街で、オシャレな街として認識されています。そんな街にも日本風のお店が並んでいます。

韓国は2010年前後に日本の飲食チェーンが続々進出。その影響もあってか、個人経営の日本食店も次第に増えていき、2014年頃には「日本食ブーム」と報道されるまでに。「きらら」「かわいい」のような日本語を掲げる看板があったり、「酒」と書かれた赤ちょうちんが吊るされるなど、様々な店が街の至るところに登場しました。

しかし料理の出し方は少し異なります。日本のチェーン店風のお店でも韓国の食事形式に合わせて大皿に盛られていることが多く、日本食が現地化されていることがうかがえます

 

ゆったり感がある地方の街並み

活気ある港町・釜山の観光地

韓国南東部の港町・釜山(プサン、부산)。釜山港周辺のランドマークともいえるのが釜山タワー。高さは約120mで、展望台からは街と港が一望できます。その前にあるのは李舜臣(1545~1598)将軍像。豊臣秀吉の朝鮮出兵として知られる文禄・慶長の役(1592年、1597年)で活躍した武将で、戦闘地となった南海岸のあちこちに像が建てられています。

そして、釜山の魚市場・チャガルチ市場のすぐ横。時間は午前8時頃で、市が活気づく前。九州から船便が出ており、日本人観光客がよく訪れることから漢字の看板も見えます。この通りでは魚が売られていたり、刺身や焼魚の食堂もあったりと、とくに日中は市場らしく活気に満ちています。

チャガルチ市場近くの食堂で「白飯(백반、ペッパン)」を注文。これは日本でいえば「定食」にあたります。値段は5,000ウォン(約500円)で、ソウルの食堂よりは安め。ご飯と汁物のほか、おかわりもできる副菜は基本で、このお店ではサバ焼きがつき、珍しく汁物が2つついています。

部屋の明るさを過信して、フラッシュを炊かずに撮ったところ、写真は見事に(?)失敗。

デジカメで撮っておいた写真も付け加えておきます。

そして、釜山の中心街で撮影したハングルの道路標識。韓国では一部の地名を除いて、ほとんどが漢字で表せます。

しかし一般的にはハングルを用いるため、基本的に道路標識はハングルとローマ字表記のみ。観光地の表記だけは「釜山驛」「太宗臺」のように、日本でいう「旧漢字」で地名が書かれています。

 

冬季オリパラ開催地となった平昌・江陵

2018年に冬季オリンピック・パラリンピックが行われた平昌(ピョンチャン、평창)。平昌郡は平均標高約700mの高地で、スキー場や牧場などがあるリゾート地です。

韓国のスキー場は、リフト料金が1日70,000ウォン(約7,000円)ほど。人工雪にかかるコストなのか、その他の割引制度が充実しているためかはわかりませんが、日本より高めの値段設定です。

五輪期間中、取材する記者たちの施設として使われたMPC(メイン・プレス・センター)。ここは平昌の「アルペンシア・リゾート」内に位置しますが、この建物の前にある像が話題となりました。

この像のタイトルは「弾丸マン(총알맨들)」。東京スポーツの記者が現地のボランティアスタッフに尋ねたところ、「わかりません」という意味の「モルゲッソヨ(모르겠어요)」という答えが返ってきたことから、「モルゲッソヨ像」としてSNS上で拡散されました。

このような一風変わったオブジェは、韓国のところどころで見かけます。日本以上に芸術分野に対して力を入れていることも背景にあるのでしょう。

そして最後の写真は、五輪のスケート競技が開催された、江陵(カンヌン、강릉)のとある川。冬場には平地でも-20℃近くに達する韓国では、川が凍ることはよくあります。全面凍結とはいきませんでしたが、一部が凍っています。

長時間外にいるのがつらいほどなのに、このように凍った川を見ると、余計に寒くなる気がします。

 

インスタ映えだけでなく、路地や地方もフォトスポットに。

フォトジェニックな写真を撮ることが流行っている昨今。韓国にはインスタ映えスポットが多く、そこでシャッターを切るのも、もちろん楽しいことではあります。

しかしソウルには伝統的な建物や昔ながらの路地もあふれており、そこもまたフォトスポット! 使い捨てカメラならさらにレトロな雰囲気を醸し出せるはずです。さらに列車やバスで乗って地方にも出かけてみれば、より解放感のある気持ちで、写真が撮れることでしょう。

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この記事を書いた人

吉村 剛史

吉村 剛史

1986年生まれ。ライター。「韓国を知りたい」という思いが日々のエネルギー源。誰も訪れない地方都市巡りをライフワークとし、20代のうちに約100市郡を踏破。国内では2月号『散歩の達人』コリアンタウン特集執筆ほか。SNSでは「トム・ハングル」の名で韓国の小ネタを日々発信中。HP / Twitter

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