2018.04.09

『写ルンです』で中国・上海を撮ってみた

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『写ルンです』で中国・上海を撮ってみると、もともとレトロ感漂う古き良き街並みとグッとマッチ。近未来的な高層ビル群は、それはそれで古いような新しいようなふしぎな世界観が生み出されました。現地在住の海辺さんがご紹介。

 

レトロな上海の街並みと「写ルンです」はきっと相性抜群

明清時代からの古い街並み、租界時代の重厚感のある建築物、無造作に干された洗濯物など、上海とその近郊は「レトロ」という言葉がよく似合います

私が通っている中国語教室は素敵な古い洋館。

スマホで街中を撮影するときにも、うっすらとフィルターをかけるとなんともいい感じに仕上がる。そこで、今回の「写ルンですで街中を撮影する」という企画。これは面白そう! っていうより上海と絶対に相性がいい! そう思い、わくわくしながら参戦しました。

日本に帰国した際にドラッグストアで購入した「富士カラー・写ルンですSIMPLE ACE」。やっぱり懐かしい。そして「シャッターを上から押す」「室内・夜間・曇り・日陰・逆光の場合はフラッシュ入」など丁寧すぎる説明がすでに新鮮。

 

スマホで撮影している写真を見るとちょっと不安に……

ただ、自分のスマホ画像フォルダを見てとても不安になった。

見事に似たような写真を2枚ずつ撮っています。このペースで撮影してはフィルム27枚などあっという間になくなってしまう、「自分の癖」を肝に銘じて撮影に入らないと。

さて、撮影に出かけます!

 

スマホのフィルターとはまったく違うホンモノ感

なんでもない風景が絵になる

昼休みに会社周辺を散策して撮影した記念すべき1枚目はこちら

上海の中心部に残された古い建物の間です。ダンボールを三輪車で運ぶ人が狙い通りで、いい感じに仕上がっていました。

そして左側を向くとこのように、1階にお店が入った古い家が並びます。おっと、早速2枚撮りの癖が顔を出してしまった。

外灘付近には観光地がたくさんあります。鮮やかな安っぽい青色が賑やかさに拍車をかけており、なかなかいい出来。

ローカルの食堂にて麺料理を。室内ではフラッシュを忘れずに。ある時期から「室内でフラッシュを使うとダサくなる」と思い極力使っていませんでしたが、「写ルンです」の場合は使わないとほとんど何も見えなくなってしまいます。


上海の風物詩である窓やベランダから突き出た洗濯物を見上げて。2018年とは思えないほどのレトロ感に仕上がった。

指が入ってしまった…。デジカメやスマホなら即行で削除される類の失敗写真も、こうして残っていくんだなぁ。

ここまでで、すでに残りが15枚になってしまっていて焦る。最初の2~3枚は慎重にシャッターを押していたものの、あっという間に慣れ、緊張感なくバシャバシャと撮っていたあたりから、失敗が増えてきました。

しかしながら、画素数に頼らない写真なので、失敗しても味が出ます。子供のころはこのような写真が当たり前だったのに、今見ると粗さが新鮮であり、しかも上海のレトロな街角と上手くマッチし、普通のスマホやデジカメでは出せない色に仕上がりました。

 

週末、編集長同行で観光地「朱家角古鎮」へ

たまたまこちらに訪れていた海外ZINEの水嶋編集長も同行し、上海近郊の「朱家角古鎮」に訪れました。水辺に築かれた古い街なので、「写ルンです」に合うはず! たくさん撮るぞ~。

朱家角古鎮はこちらの記事でも紹介しています。

上海の夜景はタイムカプセル! 百年を渡る河・黄浦江

そこで到着するなり、さっそく編集長が口出し、いやアドバイスを。

水嶋

あのー、ここでフィルム全部使う気でいます?

海辺

……い、いえもちろん上海市内用に残しますとも(使う気でいた)

 

というわけで、残り枚数を考えるとここでは7~8枚しか撮れないことに決定。

橋のたもと。何気ない場所ですが、観光客も多く、各々のコートやマフラーの色が鮮やかに現像され、中国ではあるものの昭和感の漂う仕上がりとなりました。

橋の上からの景色。瓦屋根の質感と荒さがいい具合に混ざり合い、味があります。

布団の色、そしておばあちゃんの頭巾とセーターが鮮やかで映えています。色、構図ともに「写ルンです」にぴったりでいい出来!

こちらは「一枚だけ撮らせてくれ」とせがまれて、水嶋編集長が撮影したもの。橋の欄干に布団がかけられているのが中国っぽい。しかし指は入っているし……以下略。

 

満を持して上海一の観光地である外灘へ

さて、上海市内の外灘地区に戻ってきました。

寒かったせいか、これでも人は少なめです。

お子様連れの若いお母さんに声をかけ、「写ルンです」で撮ってもらう。使い方わかるかなーと少し心配したものの、特に困るようなリアクションもなく普通にシャッターを切っていました。実はこの日の夜にもこの場を訪れたのですが、残念ながら真っ暗だったようで、現像されませんでした。

ちなみにスマホで撮ればこんな感じ。こんなに明るいのに「写ルンです」だと真っ暗になってしまうのですね……。スマホ、すごい。

それから失敗が続き、ついにフィルムは最後の1枚となってしまいました。困った。ここへ来て、どうしても撮りたい場所が2箇所ある。27枚もあったのに、計画性のなさが嫌になるが、残り1枚という事実は変わるはずもなく、フランス租界地へと向かいました。

最後の1枚! よかった、成功した。これはフランス租界地の一角にある「武康大楼」という1920年代に建てられた古いマンションです。手前味噌ですが、レトロ建築と「写ルンです」の融合ともいうべき作品に仕上がりました。

こちらは、同日、同時間にスマホで撮ったもの。きれいですがやはり面白みに欠けますね……。

ちなみに、もう1枚の撮りたかった場所というのはここ。

上海のショッピングエリア・南京東路です。これはスマホで撮影。

 

「これどうやってフィルム取り出すんですか?」

先に写真を披露しましたが、現像でも苦労しました。

不安だったので、通訳として同僚の中国人、余さんにヘルプをお願い。1店舗目、ネットで調べてもらったカメラショップへ。

店員

このカメラの現像はここではできません。この近くに富士フィルムさんのショップがありますので行ってみては?

 

やはりそう簡単にはいかないようです。

ということで、徒歩5分ほどの場所にある富士フィルムのショップへ。「写ルンです」の生みの親ですからさすがに大丈夫でしょう。……

店員

これは現像できません

 

けんもほろろに。ここで余さんの彼氏さんが合流し、親切なことに電話で問い合わせて現像できる場所を見つけてくれました。さて、3店舗目へ。

今度こそ、現像できますように。

店員

ええ、できますよ

 

やった~!だがしかし……

店員

でも、あの、これはフィルムをどうやって取り出すんですか?

 

えっ! なんだか危険な香りがぷんぷんする。どうやって取り出すのかを私に聞かれましても……。ここで店員さんが店長さんに電話。話がつき、やはり現像できるとのことで、不安も残りつつお願いすることに。と思いきや、しかしここでまた問題が。

店員

仕上がりは3月の末ごろになります

 

ええっ!今はまだ2月半ばなのに。春節期間に入るから、と言っていたがそれにしても遅すぎる。3月末だと全く間に合わないため、ここでも残念ながら現像できずという結果に。

そうして結局、日本で現像したのでした。後に調査をすると上海でも「カメラ市場」という場所へ行けば現像できるようですが、今回は時間がなく断念。

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中国に日本と同じく使い捨てカメラは存在したのか

コンパクトカメラ以後、デジタルカメラ以前、日本で大人気だった「写ルンです」をはじめとするレンズつきフィルムですが、中国ではどうだったのでしょう。結論から言うと「一次性相机(使い捨てカメラ)」として存在はしていたようです。しかしながら、売ってる場所も少なく、日本ほど普及はしていなかったとのこと。

友人・知人数人に聞いたところ、「知っていはいるが使ったことがない」「子供のころ祖父におもちゃのカメラとしてプレゼントされた」など、身近なものとして使ってはいない人が多いことが判明しました。その代わり、観光地にはフィルムだけ買ってカメラをレンタルする「レンタルカメラ屋さん」があったそうです。昨今話題のエコなシェア文化は当時からすでにあったんですね。

日本のように流行っているという声は聞かれないものの、ネットショップでは多種多様の機種がそろっていました。

とはいえ、写真大好き、自撮り大好きな現代の中国人。古めかしい写真が撮れるカメラとして、日本と同じく使い捨てカメラがまた流行る可能性もありそうです。その時のために各現像店は対応できるようにしておいたほうがビジネスチャンスが広がるかもね、とは思うものの、余計なお世話ですね……。

今回久々に「写ルンです」を使ってみて、楽しかったと同時に上手くいかなかった悔しさもあったので、上記ネットショップで再購入してしまいました。次はもっといい写真を撮りたい!

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この記事を書いた人

海辺 暁子

海辺 暁子

上海在住1年半。日本にいるときから典型的なO型と言われ続けてきましたが、こちらにきてさらにO型っぷりに磨きがかかりました。色々なことが自由なので体重も順調に増してます。中国の家庭料理「宮保鶏丁」が好きすぎて、大量に作って冷蔵庫にストックするのが幸せ。

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