呪術禁止? 本田圭佑が教室開校?? 謎すぎるルワンダのサッカー事情

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2018年ワールドカップ、はじまりますね! そこで海外ZINEでは、世界各地のサッカー事情について調査&レポート。実は日本よりも格上の国がひしめくアフリカ。しかしルワンダはいまいちらしい。しかし、すごいエピソードが。実は本田圭佑がサッカー教室を開いていたり、あとなんと……「呪術禁止」。え、待って! それって、ある前提!?

 

街頭テレビや「ゴム」のボール! ルワンダの生活文化とサッカー

とうとうやってきました、ロシアワールドカップ! アフリカからは日本がグループHで対戦するセネガル(FIFAランク28位)をはじめ、チュニジア(14位)、モロッコ(42位)、エジプト(46位)、ナイジェリア(47位)が出場しています。どのチームも、ランキング60位となった日本より格上なんですね。

私のいるルワンダでも、サッカーはバスケやバレーを抑えて一番人気のスポーツ。私が日本人と知ると、「ホンダ!」「カガワ!」と声をかけてくる人も多いほど。海外の試合を観ている人もいるんだなあと実感しますが、農村部ではまだまだ自宅にテレビがある家庭は限られています。

アリメンテーション(よろず屋)のテレビの前で団らんする村人たち

その代わり、バーやアリメンテーション(食料品や生活用品などを売っているよろず屋)に寄り集まって観戦する光景はよく目にしますね。戦後の日本で、近所の人たちが集まって力道山のプロレス試合を観ていた感覚に近いかもしれません

ただし、ルワンダが出場しないワールドカップに対する熱はそこまで盛り上がっておりません。いつの日かこの国の代表チームや出身の選手がその舞台に立つ姿を見たいものです。

実際に、サッカーをプレーしている人も多いです。我が家には「ベンジャミン」という名前の守衛(在住外国人の家にはよく見られる)がいるのですが、訪問者に「ロマミはいる?」と聞かれ「誰のこと?」と聞き返したら、ベンジャミンのコートネームでした。ロマミはルワンダの有名なサッカー選手らしく、ほかにもメッシ、ロナウドなどと呼ばれている(呼ばせている?)人もいるそうです。

しかし、サッカーはもっとも身近なスポーツではあるものの、特に農村部ではきちんとしたボールを入手するのは簡単ではありません

手作りのボールを蹴りながら下校する子ども

そのため、子どもたちは、紙や布を丸めて紐でしばった手作りのボールで遊んでいます。弾力を出すため、中にゴム手袋やコンドームを膨らませて入れることもあるのだとか。ルワンダでは近年、青少年に対する性教育が重視されているので、避妊具への抵抗感も薄いのかもしれません。

カガメ大統領の名を冠した「カガメカップ」(学校対抗戦)で対戦中の子どもたち。

試合はこのような芝のグラウンドでおこなわれます。きちんとネットが張られたゴールは見たことがなく、ゴールポストすらない場合は、大きめの石を2つ置いて代替していることも。このように、特別な道具がなくても楽しめる点がサッカーの良いところ。だからこそ先進国や途上国に関係なく世界中で愛されているのですね。

 

アフリカの子どもたちにプロの道を! 本田圭佑のサッカー教室

アフリカサッカー界には、ACミランや、日本代表としても活躍している、あの本田圭佑選手も注目しています。本田氏がプロデュースするサッカースクール「ソルティーロ(SOLTILO)」は現在、「AFRICA DREAM SOCCER TOUR supported by Car-Tana.com」を開催中。「潜在能力はあるけれど、経済的に恵まれない子どもたちにサッカー指導を受ける機会を与えたい」という理念で運営されており、約1年かけてアフリカ3カ国をまわります。

実はその一国が、ルワンダ(ほかの二カ国は後述)。首都・キガリ市内のウムチョムイーザ学園(Umuco Mwiza School)で開催されていた練習にお邪魔してきました。

日本人コーチの説明を聞く参加者たち

写真をよく見ていただくとお分かりかと思いますが、サンダルや裸足で練習に参加している子どももいるのです

グラウンドで練習に励む子どもたち

アフリカでツアーの開催地として選ばれたのはルワンダのほか、ケニアとウガンダ。同社のニュースリリースには「ケニアはアフリカ最大級のスラム街を抱え、ウガンダは約94万人というアフリカ最大の難民受入国であり、ルワンダは世界有数の難民申請者数を記録している現状があります」と書かれています。そのような背景をもつ国々だからこそ、サッカーを通じて価値や機会を提供したいという想いがあるのですね。

当プロジェクトの現状や今後について、スクールを運営する、SOLTILO株式会社・アフリカ統括マネージャーの二村元基(ふたむら・もとき)さんにお話を伺いました。アシックスでの社会人経験を経て、青年海外協力隊としてウガンダで活動後、現職でプロジェクトを率いている方です。

現地の子どもたちと触れ合う二村さん(写真:二村さん提供)

タケダ

すごく素敵なプロジェクトですよね。子どもたちにはどんなことを期待していますか?

二村さん

将来、プロサッカー選手になれる子どもに出会いたいと思っています。そしてこの活動を通して夢をもってもらいたいです

タケダ

夢と言うと、サッカー選手になるということですか?

二村さん

いえ、サッカーに限らず、です。現在5つの企業にスポンサーとして支援して頂いているのですが、そのお力をお借りして、各スポンサーが得意とするメカニックやプログラミングの講座、衛生啓発教室なども実施できればと考えています。そこであらゆる機会に恵まれない子どもたちにきっかけを与えられればと

タケダ

それは貴重な機会になりそうですね。アフリカの子どもたちを見て、彼らの特徴や日本との違いを感じたことはありますか?

二村さん

ボールは蹴れるけどサッカーではない、ということですね。ドリブルしたりシュートしたりすることには慣れていますが、チームとして戦うわけではなく、戦術などもあまり知りません。でも、我々のミッションは特定のチームを強くすることではなく、『個』に特化することなので、才能がある子がいればその力を引き出すことにコミットしたいです

タケダ

この取り組みからスター選手が輩出されたら、と考えるとワクワクしますね!

二村さん

ありがとうございます。ただ、成果が出る、つまり彼らが夢を叶えられるのは5年から10年後となります。夢を一緒に追いかけてくれる人たちの力を借りながらやっていかなければならないので、継続性を意識してやっていきたいですね

 

可能性にフタをされていた子どもたちが、このプロジェクトによって才能を開花させ、プロ選手としてピッチに立つ姿を見てみたいものです。応援しています!

 

ルワンダのサッカーでは「呪術」禁止!?

最後に、ルワンダにおけるサッカーのとんでもないエピソードをご紹介します。ルワンダのサッカーの試合では、なんと「呪術」を使うことが禁止されているのです。

英ミラー紙掲載の動画、選手が呪術を使う瞬間を捉えています。

2016年12月16日、ムクラ(Mukura)対レイヨン・スポーツ(Rayon Sports)戦。1点を追うレイヨン・スポーツのFWカマラが、相手ゴール左ポスト根元付近に何らかの物体を突き刺しました。これを見た相手GKは激怒。カマラを激しく追い回し、主審も同FWにイエローカードを提示。しかし、直後にヘディングでカマラの同点ゴールが生まれました。

GKが怒ったのは、カマラが「呪術」を使ったと考えたから。ルワンダではこれまでにもサッカーの試合で魔法が使われたとされる事象が数多くあり、この試合では実際に劇的な同点ゴールも決まりました。そこで、呪術を使ったとみなされた選手は10万ルワンダ・フラン(約14,300円)の罰金、所属クラブについては、290万ルワンダ・フラン(約414,000円)の罰金という処遇が決定。

ルワンダサッカー協会のケイランガ副会長は「厳密に言うと、協会として魔法そのものに対する罰則はない。なぜなら世界のどこにおいても魔法が試合に影響を及ぼしたという証拠はないからだ。ただ、そのような(魔法をかけたとされる)行為が相手チームとの暴力的ないさかいを引き起こすため、罰則を設けることにした」と説明しています。

要するに、ルワンダのサッカーの試合で魔法のようなものが使われ、それを禁止するルールができたのです。

ルワンダのニュースサイト、ニュータイムズ(The New Times)の記者は「呪術など個人的には信じない」という立場を取りつつも、「このような出来事は、アフリカやルワンダのサッカー界において珍しいことではない。私はこの10年ほどの分析から、スキルや練習よりも呪術の方が素晴らしい試合を作り得る、と信じているコーチや選手もいると確信している」と書いています。

西アフリカ、トーゴにあるブードゥー教の呪物市場の様子(©Dominik Schwarz)。

現地の知人にも聞いてみたところ、「私も呪術は信じない。でも過去にはたくさんの人が信じていた」と言う人や、「呪術を使っているのはルワンダ人ではなく、近隣国から来た選手たちだ(ルワンダ人はそんなもの信じない)」と言う人もいました(記事で呪術を使ったとされるカマラ選手は、西アフリカ・マリ共和国の出身)。

現代でも世界にはこのような風習が一部に残っているという驚きをみなさんと共有したくてご紹介したのですが、だからと言って、「ルワンダ人はみんな呪術を信じている」「アフリカは遅れている」と思ってほしいわけではありません。日本でも占いや縁起など科学的根拠に乏しいことを信じている人はたくさんいますよね。私も自分の星座(おひつじ座)が星占いで1位だったら、やっぱりテンションが上がりますから。

いずれにせよ、呪術を信じて実行している人がいて、それによるいざこざを避けるためにルールまで作られたことは事実である、ということでした。もしかしたら、いろんな国々のスポーツを調べてみれば、他にもとんだ珍ルールが見つかるのかもしれません。

このエピソードについては、これらの記事にも詳しく掲載されています。

ミラー:Witchcraft banned from football games in Africa after bizarre coincidences freak out players and referees
ニュータイムズ:There is no place for juju in modern football
日刊スポーツ:まるでハリーポッター!? サッカーで魔法禁止に

 

生活、教育、呪術、いろんな視点でサッカーを楽しもう!

この記事ではルワンダの人々のサッカーとのかかわり方、本田圭佑氏がプロデュースするアフリカ3か国でのサッカー教室、アフリカサッカー界における呪術の活用、という3つの話題から語ってきました。自分で書いておいてなんですが、まさかこんなに斜め上の方向でまとまるとは……。私自身、サッカーには全然興味がなかったのですが、こうやって別の視点からワールドカップを観戦してみるのも面白いかもしれませんね。

「この選手も小さいときはボールを手作りして遊んでたのかなあ」とか、「この国では小さい頃から戦術を教えられるのかなあ」とか、「いま怪しい動きしてたけど、もしかして呪術では……!?」とか。楽しみ方なんて人それぞれですよね。この記事を読んで、これまでのサッカー観戦もまた違った楽しみ方ができるとうれしいです!

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この記事を書いた人

タケダ ノリヒロ

タケダ ノリヒロ

日本の大手食品メーカーで3年勤務した後、退職して青年海外協力隊としてルワンダの農村で2年間活動。18年夏から当国でスタディツアーを運営。身長と体重と生まれた年がテイラー・スウィフトと同じです。個人ブログ『タケダノリヒロ.com』(月間PV12万)/ルワンダ情報専門サイト『ルワンダノオト』編集長/Twitterはこちら

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