海外のサッカーまとめ:賭博文化に歴史観に呪術? 世界の「サッカー愛」から国を知る

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みなさん、ワールドカップはご覧になられましたか? 白熱しましたか?

6月は特別企画として、世界各地のサッカー事情を紹介いたしました

この振り返り記事の公開日は6月末に設定していますが、実を言うとこれを書いている時点でW杯はすでに閉幕。いやー、今回の大会では日本はドラマがありましたねー。ポーランド戦の展開は世間を二分したようで、SNSのあちこちでドンパチやっているのを見てました。ベルギー戦は楽しもうと思って酒とつまみを買ったのですが、食べ終わって試合開始30分前に眠って、試合終了30分後に目が覚めてしまうという体たらく(これまでにない情けない表情をしていたと思います)。

私自身は、そんなニワカにすらなり切れないくらいのスタンスのため、この記事のコメンテーターとしてサッカーファンの一人である、杉本さんにお越しいただきました! 誰だ? という話ですが、このサイトの運営会社でもある株式会社トラベロコ、そのCTO(技術責任者)です。

水嶋

よろしくお願いします!


杉本

よろしくお願いしますー

水嶋

杉本さんがサッカー好きということは前から聞いていましたが、ここで海外ZINEに絡んでくるとは


杉本

そうですね、最高な形で絡むことができて光栄です


水嶋

それはよかった

 

ロシアのサッカー事情

2018年W杯開催国ロシア! でも地元じゃ意外と不評? その理由

水嶋

まずは開催国、ロシアから!


杉本

少年ってみんなサッカーで育つじゃないですか


水嶋

そうなんですか? 私はゲーム少年でぜんぜんでした


杉本

そうですか……。で、なのに、ロシアではサッカーに関心を持つ人は少ないのは残念に思いました


水嶋

開催国の割には冷めてる印象でしたね、多くの市民に「俺たち関係ねぇ」くらいの感じが出てたかと

電車内はW杯仕様だが、ひとびとはクール。

杉本

グループリーグ敗退は確実だというコメントがありましたが、突破して盛り上がったんじゃないでしょうか


水嶋

それで盛り上がっていたら可愛げもありますね、それでもクールだと一周回ってもう怖くなってくる


杉本

チェブラーシカが「ばったり倒れる」、ザビヴァーチが「ゴールを決める」っていうのがおもしろかったです


水嶋

前者は、なんとなく可愛い感じありますね。おっちょこちょい的な

マスコットキャラクターのザビヴァーチくん

 

イタリアのサッカー事情

W杯出場を逃したイタリア、古豪のサッカー人気は最近下火ってホント?

水嶋

イタリア。W杯には出場できなかったことはサッカーファンには大きな話題だったようですね


杉本

衝撃的でしたね。イタリアのクラブが昔に比べて活躍できていないとは思っていましたが

ワールドカップの話題がないため、イタリア国内のサッカーはセリエAの話題が中心。

水嶋

出ないとなったらそっぽの向き方がすごい。国民性でしょうか、すごく伝わってくる


杉本

「ワールドカップって何?」と言ってるという話はどこかで聞いてましたが、本当に無視してるんですね


水嶋

確かに興味はなくなるかもしれないけど、メディアの「一応伝えとこ」というのもない感じ


杉本

将来的に、ロシア大会はなかったことにされそうだなと思いました


水嶋

あはは! 話題に上らないだろうし、事実上そうかも

イタリアのサッカー人気の明日はどっちだ!?

 

アルゼンチンのサッカー事情

国宝は、法王、マラドーナ、それからメッシ! W杯はアルゼンチンの熱い夏

水嶋

アルゼンチン! 強豪ということで


杉本

個人的にはバティストゥータ以来アルゼンチン代表のファンです


水嶋

ほぉー……今検索して選手だと知りました、知らなくてごめんなさい

あっちもこっちもメッシ!

杉本

同じサッカー選手でも、国内リーグでプレーしたことのないメッシへの見方は特殊みたいですね


水嶋

あ! そうだったんですか、そういうパターンもあるんですね。国外からのスカウト多そうだもんな


杉本

子どもにメッシと名付けるのは、「高橋長島」みたいな感じなんでしょうか


水嶋

はじめて聞いた! 長嶋茂雄ですか。「英雄あるある」ですね

前回大会でのパブリックビューイングの様子

 

ベトナムのサッカー事情

W杯にベトナムは自殺者続出? 経済発展とともにダークホースは本命に

水嶋

ベトナムは、杉本さんの在住国ですね。私も長くいましたが


杉本

そうですね、在住者としてはもちろん頑張ってほしいとは常々思っています


水嶋

だけど、も?


杉本

W杯出場となるとまだ先なのかもという気はしますよね


水嶋

ですねぇ、でも1月末のU23アジア大会は決勝まで進んですごい盛り上がってた!


杉本

会社で旅行に行ってたんですが、帰りのバスの時間が試合とかぶるってことで、数名の社員が旅行先で試合を見てから帰ってました


水嶋

すごいモチベーション

U23アジア大会は、盛り上がりすぎて街中が暴走バイクだらけに。

水嶋

ベトナムは、ダーカウという国技も足を使うことですしね


杉本

あれね。サッカー経験者があまり上手にできない、という状況は何度か見たことがあります」


水嶋

ありゃ。意外と適性がある訳じゃないのかなー

公園で見かけるダーカウのプレー風景

 

ドイツのサッカー事情

常連ドイツのW杯、盛り上がりには複雑な歴史と愛国心

水嶋

ドイツ、常連国ということですが


杉本

2014年の大会ではブラジルを圧倒して優勝したのが記憶に新しいです


水嶋

そうなんだ。ほんと知らないな、私


杉本

当時は育成が成功したということがよく言われていましたが、サッカーの裾野が広くて憧れます


水嶋

どこでもきちんとした指導者がいるって、サッカーの育成以外の面でも良い点がありそうですね

2014年優勝決定後、街は大盛り上がり。

杉本

ドイツは地方の小都市でもスタジアムがたくさんあって盛り上がる印象ですが、ナショナルチームとなると戦争の歴史と絡んでくるんですね


水嶋

国を代表、となると色が変わるんでしょうね。同じWW2の敗戦国でも、この日本との違いは本当に興味深いなと思いました


杉本

ちなみに、「サッカーには興味ないけどドイツサッカーのアピールはしたい」っていうのは海外在住あるあるだなーと思いました


水嶋

それってあるあるなんですか? 私はベトナムびいきですけど、まだ出場できてない上に私自身が興味がないからピンと来ないな……

トルコ系移民が多いため、トルコ戦の日に掲げられた両国の国旗。

 

韓国のサッカー事情

「赤い悪魔」を名乗る韓国サッカー応援団、日韓戦からさぐる日本観

水嶋

韓国、サッカーから日本観を探る! 個人的に好きでした


杉本

韓国は日本より10年ほど早くプロリーグが発足してるんですよね


水嶋

あ、記事中の「1983年」ってそうなんですね! へー、知らんかった!


杉本

でも、海外へ移籍した選手が注目されたことで国内リーグの人気に陰りが出ているそうで


水嶋

あら……

水原ワールドカップ競技場

杉本

日韓戦は日本でも盛り上がりますが、常に意識してくれるというのはうれしいですね


水嶋

そうですね。政治が絡むといろんな感情が絡みますが、その熱量を素直に受け合える関係でありたいなと思いました

韓国のサッカー応援団は「赤い悪魔」と呼ばれる

 

ルワンダのサッカー事情

呪術禁止? 本田圭佑が教室開校?? 謎すぎるルワンダのサッカー事情

水嶋

ルワンダのサッカー事情、そもそも素がおもしろいですよね……「呪術は禁止」って


杉本

そうですね、それももちろん驚きですが、罰金14,300円というのがかわいいなと思いました


水嶋

現地換算だと高いんでしょうけど、かなり意図しないと出来ない行為に「そんなもん?」という感じはします

サッカーに呪術はダメ、ゼッタイ!(©Dominik Schwarz)。

杉本

プライベートでもコートネームで呼び合うんですね


水嶋

サッカーが身近であるってことですね


杉本

自分で名乗るのはちょっと恥ずかしいので、チームメイトにつけてもらいたいなと思いました。「お前日本人だから『ホンダ』で」みたく雑に付けられそうですが


水嶋

それは、本田圭佑の意味なのか車メーカーの意味なのか

ルワンダには本田圭佑が主催するサッカースクールも

 

タイのサッカー事情

賭博に花を添えるタイのサッカー、なのにふしぎと健全な国内リーグ

水嶋

タイ、国内リーグが盛んということで確かにたまに日本人選手が活躍すると耳にします


杉本

1996年からやっていることに驚きました、2013年頃から盛り上がりはじめたって何があったんでしょうね


水嶋

なんでも2011年頃からJリーグがタイ市場との接点が増えてきたらしいですよ


杉本

へーーー


水嶋

そうやって盛り上がっていく中で、地元の人気もついてきたと


杉本

なるほど、納得です

タイ・リーグは「チャント」(掛け声)など応援もしっかりしている。(写真提供:SAMURAIxTPL http://tpljp.net/)

水嶋

とはいえ、東南アジアの強豪ということはこの記事でようやくハッキリ覚えましたが


杉本

アジアの大会でも上位に食い込めば、さらに盛り上がっていくでしょうね


水嶋

近いうちに韓国などと並んで日本のライバルになっていくのかな


杉本

セパタクローの足の角度が開きすぎて、どういう状態なのがぜんぜん分からないのがいいですね


水嶋

それは、杉本さん的に「いい」んだ(笑)

確かに、何をどうしてこういう姿勢になったのか(©dbgg1979)

 

ペルーのサッカー事情

36年ぶりW杯出場のペルー! ネット無料&大統領命令で祝日もふえる大熱狂

水嶋

ペルー、36年ぶりの出場。南米=強豪のイメージでしたが、裏を返すと競争が激しいってことですもんね


杉本

そうですね。ユニフォームが「私が主役です」のタスキを掛けてるみたいで好きです


水嶋

いきなり何言ってんですか(笑)

ペルー代表のユニフォーム。タスキ……言われるまで気づかなかった。

杉本

日本人選手の澤さんのことは初めて知りました


水嶋

ね。サッカーを通して、世界各地で活躍する日本人って多いよなーと感じます


杉本

一気に身近に感じますね、応援したいなと思いました

サッカーの試合があると静まりかえる金曜の夜8時

 

ミャンマーのサッカー事情

ミャンマー人サッカー選手はゴールがお嫌い? 伝統蹴まりの美技とジレンマ

水嶋

仏教国ミャンマーのサッカー事情でございます


杉本

カフェのテレビでサッカー観戦って、東南アジア共通なんですね


水嶋

言われてみると、ベトナムも間違いなくそうですね。牧歌的です


杉本

ですよね、ほのぼのします。そしてチンロン、一度やってみたいけど意外と難しそう


水嶋

ベトナムのダーカウしかり、タイのセパタクローしかり、なぜか東南アジアには足を使った国技が多い

試合観戦はお坊さんの姿も

杉本

コートに投げられたというモヒンガー、少し前にミャンマーで食べましたがむちゃくちゃ美味しくて毎朝食べてました


水嶋

本当ですか!? 私、板坂さんの記事でモヒンガーの話が出るたびに気になってたんですよ。よし行ったら絶対食べよう

うますぎるミャンマーの定番的朝食・モヒンガー

 

サウジアラビアのサッカー事情

中東のサッカー選手が夢見るアラビアン・ドリームとは? 合言葉はニシムラを忘れるな

水嶋

サウジアラビアを中心に、中東のサッカー事情をご紹介


杉本

4年後のW杯の開催国がカタールなので、中東各国はどうしても出場権を得たいでしょうね


水嶋

自分たちのエリアですからね


杉本

日本も今までになく難しいアジア予選になるんじゃないかと思います


水嶋

あぁー、そうなのか、アジア予選というくくりではライバル同士なんですね……そりゃ大変

地元チームをアウェイの日本で応援するサウジアラビア人

杉本

個人的には、すごい未来的な施設ができるんじゃないかと期待しています


水嶋

あぁ、確かに! 未来的といえばドバイのイメージが強いけど、カタールもなかなかなようで


杉本

そして審判の西村さん、あらゆる意味で日本サッカー界のレジェンドなんだなと思わされました


水嶋

え? あ、調べると、世界で活躍されている審判なんだ。それにしても有名な日本語が『西村』とはおもしろい

カタールのイスラム美術館と都市遠景(©Shahin Olakara)

***

と、以上! 海外のサッカー事情でした。

今回はW杯に合わせてということでの特別企画だった訳ですが、やはりW杯が開催されるほど世界的に人気のスポーツということもあって、どこの国でもその土地ならではの話が出てくるのだなと思わされました。指導体制が整っていたり、歴史が関わってきたり、賭博があったり、呪術があったり、サッカーを取り巻く環境からはその国の特徴がありありと浮かび上がってきますね。

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この記事を書いた人

ネルソン水嶋

ネルソン水嶋

ブロガー、ライター、編集者。2011年のベトナム移住をきっかけにはじめた現地生活を綴るブログ『べとまる』から『ライブドアブログ奨学金』『デイリーポータルZ新人賞』などを受賞を契機に、ライターに。2017年11月の立ち上げから2019年12月末まで、海外ZINEの編集長を務める。/べとまるTwitterFacebooknote

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