UFO、魔術師、恐竜土偶! メキシコが誇るオカルト観光をご存知ですか

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※本記事は特集『ライターがオススメする裏観光』、メキシコからお送りします。

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メキシコはオカルトファン垂涎のスポット満載の国だった!?

日本22。メキシコ35。

これはいったい何の数字でしょうか?

答え:世界遺産の数

メキシコはその世界遺産数で世界第7位を誇ります。見どころも多く、観光業も右肩あがりの成長を続けている国ですが、有名どころを普通に楽しむだけではもったいない! というのも、メキシコは超常現象多発地帯も数多く存在する国だからです

例えば、日本の超常現象番組でも幾度となく紹介されているこちらハイメ・マウサン氏は、UFO研究の権威。彼が毎週メキシコの超常現象を中心に分析する番組「Tercer Milenio」が、1997年から続く人気長寿番組であることを鑑みても、この国がいかに超常現象の多い国なのかとおわかりいただけるのではないでしょうか?

そんなメキシコから今回は、オカルトや超常現象ファンにとってたまらない厳選スポットをご紹介します。

 

メキシコの「UFOのメッカ」は2パターンある

UFOのメッカ・自然編

超常現象の中でも、メキシコはUFOのメッカとしてその筋の人々には知られた存在ですが、目撃される場所は大きく分けて2種類あるといえそうです。

1つは大自然の作り出す神秘スポット。代表的なものとしてはケレタロ州ペーニャ・デ・ベルナルが挙げられます。筆者の住むメキシコシティから北へ230kmほど行ったところにあるベルナルは、オーストラリアのエアーズロックに次ぐ世界第3位の大きさを誇る1枚岩です。

麓の街からみるとこんな具合。その大きさがうかがえます。/©G. Arellano

地元のニュースサイト「ディアリオ・デ・ケレタロ」によると、2018年の春分の日にもUFOが現れたのだとか

その理由についてケレタロUFO協会の会長であるルイス・アルフォンソ・ロペス氏は、「ペーニャ・デ・ベルナルは、UFOが地球と宇宙とを行き来する経由地になっている。というのも、ベルナルは非常に強力な電磁場になっていて、UFOがそこでエネルギーをチャージすることができるからなのだ」と説明しています。

言われてみると、そんなエネルギーを感じることもできそうな。/©G. Arellano

今、これを読んで苦笑した方。あながち嘘、とも言い切れないのです。というのも、ベルナルは2009年に「オトミ・チチメカ族の記憶と伝統が息づく聖域」として世界無形文化遺産に選ばれています。いにしえの時代より不思議なパワーを秘めた場所として崇められていたことを鑑みると、そこにUFOを充電させるパワーがあったとしてもおかしくない、かもしれません。

UFOのメッカ・ピラミッド編

そしてもう1つ、ピラミッドもUFOの目撃情報が多い場所です。例えば、テオティワカンピラミッド。メキシコシティ中心部から50km足らず、車で1時間程度で行けるとあって定番観光地となっているものの、ピラミッドとUFOの関係を見るうえで外すことはできません。

日本人観光客も多いので「ヤスイヨ」なんて日本語で話しかけてくるお土産売りもいます。

太陽のピラミッド・月のピラミッド・ケツアルコアトル(アステカ神話の風を司る神)の神殿、の3つからなるテオティワカンですが、この3つはオリオン座のベルトと同じ並び方をしているのだそうです。

月のピラミッドから太陽のピラミッドを見たところ。ケツアルコアトルの神殿は太陽のピラミッドの更に奥にある。

なんとこれはエジプトのピラミッドとの共通点でもあるそうですが、古代ピラミッドと宇宙人とを結びつける1つの証拠でもあると、つい先日もヒストリーチャンネルのUFO番組内で解説されていました。

また、更に時代をさかのぼったマヤ遺跡から発掘されたレリーフには、「まるで宇宙飛行士のように見え」たり「宇宙人との遭遇を思わせる」ものがあるそう

超常現象マニアたちは、それを古代文明の頃より、メキシコの地と宇宙との結びつきが強かったことの証ともみているようです。宇宙とのつながりを感じながら訪ねるピラミッドでは、もしかしたらUFOに遭遇できるかもしれません。

 

まだまだある、宇宙の力を感じるスポット。

近年、在住日本人の数が増加しているグアナファト州にあるバジェ・デ・サンティアゴ。この地方には「ラス・シエテ・ルミナリアス」と呼ばれる不思議なスポットがあります。ラス・シエテ・ルミナリアスとは7つの光の意味。そう、ここには7つの巨大なクレーターがちょうど「北斗七星」と同じ形で並んでいるのです

©OpenStreetMap

クレーターの1つがある街、リンコン・デ・パランゲオでは400mほどのトンネルをくぐるとクレーターの中に入ることができます。

電灯もなにもないトンネルをくぐるのは勇気がいりそうな……。/©G. Arellano

クレーターの周りには水道橋があり、この中の水をひいてきていた、という話も。今は真ん中に少し水たまりができている程度。/©G. Arellano

この地でも、もちろんUFOの目撃情報は多数。その他にも、150cmを超える巨大なキャベツやレタスといった「なにかのパワーを得て」成長しすぎた野菜が発見されるなど、人知を超えた力の存在を感じることができます。

 

メキシコ式お祓い、リンピエサ。

さて次は、シャーマンとも魔術師とも呼ばれる、不思議な力で病気の治癒をしたり、はたまた人を呪ったりする力を持つ人物に出会えるスポットをご紹介します。

9月15日の独立記念日前夜には大統領や国民たちが集まって「ビバ・メヒコ(メキシコ万歳)!」と雄叫びをあげるこのメキシコシティのソカロ(中央広場)には、観光客向けのシャーマンが常駐(?)しています

中央に大きな国旗がたなびくメキシコシティのソカロ(中央広場)/©Victormoz

ここでは、シャーマンたちから「リンピエサ」(スペイン語で掃除や洗濯といった意味)と呼ばれるお祓いを受けることができます。

このようにお香や薬草を使って悪いものを落とします。/©えりこ

ちなみにこの友人は、「自分に憑いている住宅ローンをリンピエサで落としてほしい」とお願いして、「それは自分で払え」と呆れられていました

 

魔術師のショッピングスポット!? ソノラ市場

さて、メキシコシティには、そんな魔術師たちの必需品ともいうべきグッズを扱う市場があります。それがこちら、ソノラ市場。

雑多な雰囲気が魅力ではありますが、過去に日本人が強盗に襲われた例が何件もありますので、訪問する際には注意する必要がある地区です。/
©AlejandroLinaresGarcia

迷路のように入り組んだ10,262平方メートルの巨大な市場。その一角に、「魔女市場」と呼ばれるゆえんのおまじない&魔術グッズが溢れています。/©えりこ

本格的な魔術グッズから、お土産として気軽に買える魔術グッズまで幅広い品揃えが魅力の市場。中でも、キャンドルや石鹸は「男を捕まえて離さない効果」や「愛を高める効果」などエロティック系も豊富で、ついつい見入ってしまいます。

エロティック以外には、王道の悪魔祓いやお金を呼び込む効果のあるものも。/©えりこ

筆者は「いや、何が入ってるかわからないし……」と使うのを躊躇するつまらない人間ですが、ソノラ市場グッズ体験者からは、

合コン前に「願い事が叶う魔法の粉」を体に振りかけたところ、イケメンゲット!

「アモール・キャンドルを使ったところ、妊娠した!」

という声も聞かれるようです。

魔法の石鹸はパッケージもレトロ可愛くてお土産としてのウケもいいとか。/©えりこ

 

「魔術師全国集会」の行われる場所

ところ変わって、ベラクルス州カテマコ。メキシコシティからバスで7時間程度にあるこの町は、毎年3月の第一金曜日に行われる「魔術師全国集会」でその名を知られています。

ことの発端は、ベラクルスに住むタクシーの運転手のゴンサロ・アギーレ氏が、セロ・モノ・ブランコに棲む「悪魔」に魂を売って契約を結んだことから。それは1970年の話ですが、もともとカテマコは神秘的なエネルギーの源泉だった、という人もいます。

いっときは、ベラクルス州観光省もプロモーションし、現在もカテマコ市がバックアップする一大イベント。ただ「黒ミサ」というだけあって、魔法陣を書き、炎燃え盛る中で生贄の生血を飲んだり……とオカルト要素強めのイベントのようです。

 

信じる者は救われた……かもしれないトンデモスポット

さて最後に、現在は「ニセモノ」判定が下っているものの、メキシコのオカルトスポットを語るうえで外せない2つをご紹介します。

「ゴッドハンド」か「オーパーツ」か謎の恐竜土偶

まずはアカンバロ村から「恐竜土偶」。ドイツ人実業家、ワルデマール・ユルスートが1945年アカンバロで偶然見つけた土偶が恐竜に似ていたことから、使用人に周囲を発掘させたところ、実に3万2000もの土偶や土器、黒曜石などが出てきた、というもの

こちらが博物館の外観。/©Brattarb

その大量の出土品が所蔵されているのが彼の名を冠したワルデマール・ユルスート博物館です。発見当初はすわオーパーツか、と話題になるものの、すべては彼の使用人によるねつ造であったというのが現在の見方です

ゆるキャラ的な味わいを見せる恐竜土偶/©mc

この博物館を実際に訪ねたことのある、メキシコ在住四半世紀以上・オカルト&超常現象好きのmc氏に感想を聞いてみたところ、「(この恐竜土偶は超常現象などとは)全く別物。ただ、主人を悦ばせるために使用人が想像力と労力をいかに惜しみなく捧げたか、という事実に脱帽する」とのこと。

確かに、稚拙なデザインであろうとなんだろうと、一人の人間がこの数の土偶を作り続けて埋めた、というのは生半可な気持ちではできないかと思うにつけ、この使用人の存在自体がオカルトじみている、と言えそうです。

 

著名人も多く訪ねた奇跡の水

今から30年余り前、メキシコ内外からその奇跡の水を求めてやってきた、と言われているのがトラコテにある奇跡の泉。フランスにある「ルルドの泉」、ドイツの「ノルデナウの水」と並んで「世界三大霊水」の1つと呼ばれています。とは言いつつも、発見されたのは1990年代初頭、という意外な新しさ。

そのきっかけはというと、泉の持ち主であるヘスス・チャヒンさんがある時、息も絶え絶えな犬を見つけたことにあります。可哀そうに思ったヘススさんが犬に泉の水を与えてあげるとあら不思議。すっかり元気になったではないですか。そこでどうやらこの水には不思議な力がある、とのうわさがメキシコ中を駆け巡った、というわけです。

不治の病やケガをも治す力があると人々の口に上がった際には、エイズ感染を公表した元バスケットボールスーパースターのマジック・ジョンソンもトラコテを訪ねたという話も残っています。

画像はイメージです

ちなみに、熱心なキリスト教徒で「奇跡巡り」を好んでいたという夫の親戚も、ブームのさなかこのトラコテの泉を訪ね、奇跡の水を持ち帰ってきたそうです。「飲んでみたのか?」との質問に「はっきりは覚えてないけど、捨てたんじゃないかなあ。ほら、うちの母親、看護師だったから。『よくわからない水なんて飲めたもんじゃない。不衛生』って気持ちの方が強かったと思う」とのこと。

ピーク時には1日に4000人もの人がつめかけたトラコテ奇跡の泉も、2004年、ヘスス・チャヒンさん没後は一般公開はしていないそうです。ヘススさんはガンで亡くなったそうですが、ご自身の病にはさしもの奇跡の水も効力を発揮しなかったのでしょう。

 

多種多様なご希望をカバーする懐の深いオカルト大国

高級ビーチリゾートも古代文明の浪漫薫る遺跡も、そしてオカルトスポットをも全部まとめて一度に楽しめるメキシコ。一度はぜひお越しください!……とはいえ、実はメキシコって意外に広いんです。

世界の面積ランキングによると、その国土は世界13位で1,964,375㎢。ランキング61位の日本377,915㎢と比べてみるとおよそ5倍! メキシコご訪問の際はたっぷり、ゆったり時間をかけてお楽しみくださいね。

 

 

編集:ネルソン水嶋

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この記事を書いた人

Mariposa Torres

Mariposa Torres

2010年のメキシコシティ移住と同時にライター活動を開始。メキシコ現地日本語フリーペーパーの編集長を経て、現在は会社員とライターの二足のわらじ生活を送っています。サボテンやテキーラ、はたまた麻薬抗争……といったメキシコのステレオタイプなイメージをぶち壊すために草の根運動中。メキシコ生活を楽しむための情報ブログもやってます。めひこぐらしの手帖@mexicogurashi

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