バンコクで夜景を見るならルーフトップバーへ! 地上で燦然と輝く寺院も魅力

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※本記事は特集『海外の夜景』、タイ・バンコクからお送りします。

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「夜景を見るならルーフトップバー」がバンコクの常識

夜景と聞いて思い浮かべる風景は、高いところから見下ろしたシーンが多いのではないでしょうか。本能的に暗がりを嫌がる人は多いですから、本能が暗闇を支配しているという高揚感を与えるのかもしれないですね。

タイでも最近は、「夜景」をメインに据えた場所が流行っています。ルーフトップバーやスカイバーと呼ばれる、ビルの屋上にあるバー、あるいはレストランです。雨の日はどう営業しているのかという疑問はさておき、ピンからキリまでいろいろな店が揃っています。

バンコクは高層ビルが多く、見下ろす夜景も美しい場所がある。

ただ、ルーフトップバーはバンコクだけです。単に「屋上にある」という店ならほかの地方都市にもあるはずですが、それらに夜景を売りにしたバーはないといっても過言ではないでしょう。というのは、タイは首都一極集中型という現状で、中心地から30kmも離れると完全に牧歌的な田舎風景になってしまうからです。

タイのルーフトップバーはピンキリで、単に屋上にあるだけというバーも少なくない。

さすがにルーフトップバーともなれば各種カクテルはなんでも揃う。

バンコクに初めて来た人は多くがこう言います。

「思った以上に都会だった!」

タイに来たことがない人は赤土の田園風景が続き、水牛がぶらぶらしてそうなイメージを持っているでしょう。ですが、空港からバンコク市内に着くとその予想は裏切られ、高層ビル群が待ち構えており、特に中心部は大都会そのもの。だから、高いところから見下ろす夜景はバンコクだけでしか見られないのです。

タイ第2の都市・コラート。地方は上からの夜景は少ないが、地上からの夜景ならたくさん見つかる。

 

バンコクの「人気ルーフトップバー」と「超穴場パノラマバー」

世界一高い場所にある大人な雰囲気「スカイバー」

「スカイバー」は世界で一番高いルーフトップバー。

バンコクの人気ルーフトップバーでおすすめなのは、世界で最も高い場所にあるオープンバー「スカイバー」です。ガイドブックによっては「シロッコ」とも呼ばれます。これは同じフロアに複数の店が入っているから。純粋に夜景を楽しみたいなら「スカイバー」、高級イタリアンを食べながら見たいなら「シロッコ」と使い分けられる便利さもあります。

この「スカイバー」は、バンコクのルーフトップバー人気の火付け役といっても過言ではありません。2003年にオープンし、以来ずっとバンコクのルーフトップバーの最先端を突き進んでいます。地上820フィート(約250m)に、まるで夜景に飛びこむようなバー・スペースが鎮座しています。

ここから見える夜景は主にチャオプラヤ川周辺や、シーロム通りのビジネス街のビル群。高架電車スカイトレインの駅からも近く、バンコクの生活の風景が光のひとつひとつに描かれています。音楽も控えめの音量で、都会の喧騒が眼下に聴こえる程度。元気いっぱいに踊りたい若者向けというよりは、やや大人な雰囲気もまたこの「スカイバー」の人気の理由です。

ただ、ひとつだけ難があります。場所が高いわけですが、ドリンクのひとつひとつの価格もまた高いです。生ビールが1杯700バーツ、これは日本円換算で2100円くらいになります。最初に店員が勧めてくるワインやシャンパンは1万円以上するのですが、数人で行った場合にコストパフォーマンスとしてはボトルでワインを飲んだ方が得なのです。儲け第一ではなく、一応、客のことを考えて勧めてくれているんですね。

日系企業も多いシーロム方面のビル群を眺めながらグラスを傾ける。

懐に優しい超穴場パノラマバー「スカイビュー360」

「スカイバー」を追随するバーはどこも似た価格設定をしており、どんな辺鄙な場所でもそこそこに高額。例えば、タイ産のビールが普通のバーで100バーツ(およそ300円)前後とすれば、バンコクの外れにあるルーフトップバーでも200~300バーツ(およそ600~900円)はすると見ていいでしょう。地上よりも倍以上するわけですが、これがバンコクの夜景鑑賞への対価です。

一方で、あまり人に知られていない超穴場で、バンコクの中華街のヤワラーに激安夜景バーがあります。ここは1800年代後半に中国からの移民によってで形成された町で、今でこそ古びていますが、第2次世界大戦前後はこの町がバンコクの最先端でした。そのバーはルーフトップバーではありませんが、地上のバーとほとんど同じ料金で飲めるという懐に優しい夜景スポットなのです。

バンコクのチャイナタウンにある「グランドチャイナ」、最上階を目指すと……。

それが、このエリア唯一の高層ホテル「グランドチャイナ」の最上階(25階)にある「スカイビュー360」です。エレベーターで上がると目の前は全方位がガラス張りの展望台。しかも、このバーはどこに座っても同じ風景を見られるんです!

画面中央の曲線を境に、座席側がぐるりと回転する展望台になっている。

なぜなら、この展望バー、なんと360度、ぐるりと回転するのです。ちょうど1時間かけて1周。今は中華街はバンコクの端になってしまい、近くの夜景は暗いですが、旧市街の夜をずらっと眺めることができます。穴場すぎてほとんど客もいないので、静かに夜景を楽しみたい場合はこの「スカイビュー360」も悪くありません。

昼間に特別に入れてもらうと、ガラスが曇っていた。それでも静かに夜景は楽しめる!

 

高層ビルの建設ラッシュと消防法のゆるさが背景に

バンコクの下町、プラカノン地区のマンション最上階のバーからは港の光りが見える。

バンコクは日本とは消防法などいろいろな規制が違うため、容易に開店できることもまたルーフトップバー人気を加速させているのではないでしょうか。ブーム以前はホテルの最上階と屋上のセットがルーフトップバー&レストランの基本でしたが、今や高級住宅のひとつであるコンドミニアム(日本の高層マンション)の上にもルーフトップバーができるほどです。自宅から移動時間数十秒で夜景の見えるバーなんて素敵すぎますね。

ルーフトップバーが身近になったのでバンコクの楽しみ方も増えた。

都心の高層コンドミニアム、あるいはホテルならむしろルーフトップバーに行かなくとも、自室内で夜景を楽しむことも可能です。もちろん、場所や方角によって同じ建物でも全然違う風景で、ときには漆黒の地上が広がっていることもありますが、運がよければ部屋の中でバンコクの夜景を独り占めすることだってできてしまいます。

最近はタイでも「Airbnb」を利用した宿泊場所の提供が増加しています。いろいろなタイプがありますが、中にはバンコク中心部のコンドミニアムの部屋の貸し出しもあり、夜景を鑑賞できるベランダもあるかもしれません。コンドミニアムの建設時に夜景をセールスポイントにして売り出すところもあるくらいですので、そんなビルの一室を借りられたらラッキーですね。

ホテルだと様々な事情から、バンコクでも窓の開かない部屋が大半を占めています。コンドミニアムならベランダに出られるところが多いので、夜風に吹かれながらワイン片手に夜景を楽しめたら、バンコクの景色すべてが安く自分のものにすることができます。

日本人在住者も多いトンロー地区のホテルのバーも人気がある。

 

バンコクで見上げる夜景、幻想的な寺院やおしゃれな倉庫街

修復作業当時のワットアルン。2017年8月に修復は完了し、今は美しくライトアップされている。

さて、ここまでは高層ビルから見下ろす夜景を紹介してきましたが、見上げる夜景というのもタイで楽しむことができます。上からの夜景は街の灯火、いわば姿勢に人たちの生活の様子ですが、地上から見る夜景は、照明が設置された計画的な都市景観で、幻想的に見える傾向があります。

そんな地上からの夜景なら、例えばタイの名物でもある寺院はどうでしょう。寺院そのものが荘厳であり、それが美しく照らし出されて感動的でもあります。

バンコクにある寺院の夜景鑑賞スポットとして今一番人気は、日本のメディアでも紹介されることのある「イーグルネスト」というバーです。チャオプラヤ川沿いにあり、川面を走ってくる風に涼みながら、対岸にある「暁の寺」こと「ワット・アルン」を眺めることができます。実はこの寺院は修復作業でしばらく全貌が隠されていましたが2017年8月に完了し、今はライトアップされて川面と夜空に壮大な姿が浮かび上がっています。

ショッピングスポットでもあり、夜景スポットでもある「アジアンティーク」。

また、チャオプラヤ河沿いにある、100年以上も前からある倉庫街をリノベーションした、ナイトバザール「アジアンティーク」もおすすめです。洒落た街並みでショッピングや食事を楽しみながら、川沿いや倉庫のスポットから夜景を撮影。巨大な観覧車もあり、上からの夜景も観ることもできるので、絶妙なナイトエンターテインメントです。

「アジアンティーク」の観覧車からは上からの夜景が楽しめる。

 

バンコクの夜はいかがわしいネオンだけじゃない!

バンコクの夜というと、バーや、売春に関係した繁華街のイメージが少なからずあります。確かに、日本人のセンスではないデザインの看板が通りにまでせり出して掲げられるなど、地震や台風のため建築基準法上日本では見かけない景観が醸し出す雰囲気もあって、繁華街も見上げる夜景としてはおもしろみがあるにはあります。

ですが、治安の問題、年齢的な制限、それから女性だけの場合は行きづらいという点では夜景スポットとしては決しておすすめでできるところとは言い難いです。それであれば、ここで紹介したルーフトップバーやほかのバーの開拓、ホテルなどの高層階に泊まるなどでバンコク全体の夜の景色を楽しむ。また、寺院などいつもなら昼間に足を運ぶ観光スポットをあえて夜に訪れ、ライトアップされた地上からの夜景を楽しむという方法がベターです。

バンコクは大都会ですが、タイにしかない雰囲気もまだまだ残っています。そんな自分だけの夜景をみつけるという楽しみ方も、バンコクの夜景探索にはあると思います。

 

 

編集:ネルソン水嶋

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この記事を書いた人

高田 胤臣

高田 胤臣

1977年、東京生まれ。1998年に初訪タイ、2002年からタイ在住。タイの救急救命慈善団体「華僑報徳善堂」唯一の日本人ボランティア隊員。現地採用社員としてバンコクで日系企業数社にて就業し、2011年からライターになる。単行本数冊、AmazonKindleにて電子書籍を多数発行。執筆のジャンルは子育てネタからビジネス関連まで多岐に渡る。最近は「バンコク心霊ライター」の肩書きがほしく、心霊スポットを求めタイを彷徨う。

この記事を書いた人

ずんこ

ずんこ

タイを拠点に漫画家活動中。漫画作成、漫画の描き方指導、国内外のイベントにて似顔絵描きをするなどのフットワークの軽さが人気。以前シンガポールに住んでいたこともあり、シンガポールでの活動もしばしば目立つ。日本人向けタイの情報誌「バンコクマダム」などで漫画を連載中。法人から個人まで幅広く仕事を受注してます。連絡先:zunkomanga@gmail.com Facebookはこちら

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