2018.01.08

千の丘の国・ルワンダが魅せる満天の星空と都市夜景

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アフリカ大陸には56の国があるそうですが、中でも「アフリカの奇跡」と呼ばれるほどの大発展を遂げている国がルワンダ。紛争の時代から、「千の丘の国」といわれるほどの起伏の激しさも相まって、美しい都市夜景を望むことができます。もちろん、農村部に行けば、大自然ならではの満天の星空が。現地在住ライターのタケダさんにご紹介いただきます!

ルワンダ在住のライター、タケダノリヒロさんにご紹介いただきます。

 

ルワンダは小さくも起伏の激しい「千の丘の国」

ルワンダは四国の1.5倍ほどの小さな内陸国ですが、一番の特徴は高度が900m~4000mという起伏の激しい地形。それ故に「千の丘の国(Land of a Thousand Hills)」と呼ばれています。

私が住んでいる場所は、首都・キガリ(Kigali)から車で1時間ほど走ったムシャ(Musha)という農村部。私の家から最寄りのバス停からでも、こんなに美しい風景を眺めることができます。

最寄りのバス停から見た「千の丘の国」

今回は「夜景」をテーマに、「100万ドルの夜景」ならぬ「8億4000万ルワンダ・フラン(≒100万ドル)の夜景」をみなさんにご紹介します!

 

「アフリカ=未開の地」は大間違い!? 首都・キガリの夜景

©Dr Antoine R. Gasasira

やってきた場所は首都のキガリ。ルワンダはこの10年間ほど、毎年8%前後の経済成長率を維持(※)しており、その目覚ましい発展は「アフリカの奇跡」と称されています。 ※参照:世界銀行

しかし、映画『ホテル・ルワンダ』でも描かれたジェノサイド(大虐殺)が起こったのは、たった23年前。フツ族とツチ族の民族対立に端を発したこの歴史的大事件では、50~100万人(当時の人口の10~20%にあたる)が亡くなったとされますが、いまではとてもそんなことがあったとは思えません。 ※参照:OAU sets inquiry into Rwanda genocide], Africa Recovery, Vol. 12 1#1 (August 1998), p.4

とは言え、発展の象徴であるキガリ市内でさえ高層ビルはまだまだ少なく、アップダウンの大きな地形もあいまって、丘の上からは見晴らしの良い景色を眺めることができます。

 

アフリカの奇跡を象徴する新名所「コンベンションセンター」

それではさっそく夜のキガリへ夜景を探しに行きましょう。近隣国では危なくて夜道を歩けないことも少なくありませんが、ルワンダは比較的治安が良く、安心して出歩くことができます。私はこの国に住んで2年になりますが、危ない目にあったことは一度もありません。この静かで平和な環境もルワンダの魅力のひとつですね(とは言え油断は禁物です)。

そんなキガリを歩いていると、必ず目に入るものが、青・黄色・緑というルワンダの国旗の色をしたらせん状の大きなドーム。

2~3km離れた丘の上から撮影したコンベンションセンター(撮影:Kazuki Yuji)

これは「キガリ・コンベンションセンター(Kigali Convention Centre)」と呼ばれる国際会議場です。工事が始まった年は2009年、私がルワンダに来た2016年初頭はまだ建設中で、まったく工事が進まなかったために巷では「永遠に完成しないんじゃないか」とささやかれていました。

©leesean

しかし2016年5月に世界経済フォーラム(World Economic Forum)や、同年7月にアフリカ連合サミット(Africa Union Summit)などの国際的な会議がここで開催されることになり、それに合わせてきっちりと完成。直前の2,3週間は、周辺を訪れるたびに新たな道やラウンドアバウト(環状交差点)が怒涛の勢いでつくられ、まさに「アフリカの奇跡」を目の当たりにした気分でした。

靴はピカピカに磨く、シャツはピシッとアイロンをかける、という人が多いのがルワンダの特徴なのですが、工事を期間内にきちんと終わらせるあたりにも几帳面なお国柄が現れていますね。

よく見ると、あらゆるものがピッシリとキレイに並べられている!

電飾がまぶしいコンベンションセンター(撮影:Kazuki Yuji)

コンベンションセンターには五つ星ホテルのラディソン・ブル(Radisson Blu)が隣接しており、その向かいにはショッピングモールのキガリ・ハイツ(Kigali Heights)が今年にできたばかり。

キガリハイツから望む、コンベンションセンターとラディソン・ブル・ホテル(撮影:Kazuki Yuji)

この写真を撮っていると、綺麗な服を着た子どもたちが「♪Let it go~, let it go~」と、「アナと雪の女王」のテーマソングを歌いながら小走りに通り過ぎていきました。私の住む農村部では、ディズニーの映画はもちろんキャラクターすら知っている子どもに会ったことがありませんし、着ている服もたいてい泥がついていたり、破れたりしています。それが「良い悪い」という話ではありませんが、そことは、首都の高級ショッピングモールから見る夜景は別世界のようでした。

 

一瞬で恋に落ちる!? 夜景の美しいレストラン「ピリピリ(Pili Pili)」

キガリハイツからタクシーに乗って15分ほど走り、キバガバガ(Kibagabaga)というエリアへ。さきほどの場所は交通量も多くにぎやかでしたが、こちらは丘の上にあってひっそりとしています。キガリ郊外にもかかわらず、いつも多くの外国人客でにぎわっているのが「ピリピリ(Pili Pili)」というレストラン。

上記写真はピリピリWebサイトより(掲載許可取得済み)。

「ピリピリ」とは、唐辛子または唐辛子を液状にした調味料のこと。

これは私のボキャブラリが乏しいがために「ピリピリするやつ」と呼んでいるわけではなく、ルワンダ人もみんな「ピリピリ」と呼びます。「辛い=ピリピリ」という言語感覚は、日本とアフリカであっても同じなのかもしれませんね。一見すると目薬のようですが、一滴だけでも信じられないほど辛いので、間違っても目に入れたりしないように(フリじゃないです)。

レストランの「ピリピリ」に話を戻すと、じつはここ、ため息が出るほど雰囲気のよいお店なんです。テラスにはプールとバーカウンターがあり、「千の丘の国」の夜景を一望できます。

上記写真は ピリピリWebサイトより(掲載許可取得済み)。

私にはいま同じアフリカに遠距離恋愛中の彼女がいるのですが、もしルワンダに連れてくるなら間違いなくここを選びますね。

そんなキバガバガのピリピリでイケイケ風に撮った私の写真がこちらです。妄想デート中。「君の瞳に乾杯」と言っています(向かいに座ってるのは30過ぎのおじさん)。(撮影:Kazuki Yuji)

ルワンダでは日本の繁華街にあるようなギラついたネオンサインは少ないため、白や青、オレンジなど光の色合いに統一感があり、落ち着いた雰囲気の夜景を楽しむことができます。

ルワンダビールの「Virunga(ヴィルンガ)」越しの夜景

そんな夜景を眺めながら、ピザやパスタ、それから内陸国のルワンダではめずらしい海鮮料理も味わえるピリピリ。

タンザニアやブルンジなどに面するタンガニーカ湖でしか手に入らない、ムケケ(Mukeke)と呼ばれる淡白な白身魚

普段、魚介類はめったに食べられないため、このムケケを食べたら思わず小躍りしてしまいました。値段も飲んで食べてひとり当たり3千円前後と、ルワンダのなかでは高いほうですが、日本の感覚からするとお得なのではないでしょうか。キガリで夜景デートを楽しみたい方は、ぜひ「ピリピリ」へ足を運んでみてください。

 

こんな満天の星空、見たことない……! ルワンダ農村部の夜景

ここからは私の住む地域・ムシャに戻って、農村部の夜景をご紹介。私がこの記事を書くために、なぜわざわざ小1時間かけて首都のキガリまで出向いたかというと、私の家の近所には「夜景」が存在しないからです。我が家の庭からは、日中だとこのような景色を眺めることができます。

筆者自宅の庭からの風景

この写真のように虹が見えることもあって、とても綺麗なんです。となると、夜景も良さそうですが、実際に同じ場所で夜景を撮ってもなにも見えません。灯りがほとんどついていないんですね。

実際に撮ってみたものの、まったく何も見えないことが伝わるかと思います。

この周辺にも家はたくさんありますが、電気代が高いため夜でも灯りをつけない家庭が多いのです。私はひと月に1万5千ルワンダ・フラン(約2000円)を支払っていて、これは近隣農家の平均月収の約半分にあたります。彼らのほとんどが冷蔵庫もパソコンも使わないのでもう少し金額が下がるとは思いますが、電気を節約せざるを得ないのも無理はないですよね。

筆者自宅

夜道を歩くときは道路にも電灯がないため、私はスマホを懐中電灯代わりに使っていますが、ほとんどの住民はなにもつけずに歩きます。そのため、暗闇から突然人が目の前に現れてぶつかりそうになることも。ぶつからなかったとしても、とりあえずものすごくびっくりはします。こわい。

「向こうは見えてるんだろうから避けてくれればいいのに」と思うんですが、ぶつかるスレスレですれ違ってもあまり気にならないようです。余談ですが、こういった日常の場面で「ルワンダ人はパーソナルスペースが狭い(距離感が近い)な」と感じることが多々あります。この理由は、ルワンダがアフリカ53か国中2番目に人口密度が高い国であることも関連しているのではないかと思っています(あくまで個人的な推測です)。 ※参考:世界の人口密度ランキング

電灯をつけない理由は、視力が良いから暗くてもそれなりに見えるためなんだとか。道を歩いていると、丘の向こうから「ノリ!」と名前を呼ばれるものの、こちらからはどこにいるのかまったくわからない、ということがよくあり、いつも「どんだけ目が良いんだよ!」と驚いています。

 

ルワンダの「天空の城」? タケダ家から望む夜景

そんな漆黒の闇に包まれた農村部ですが、灯りがない分、乾季は星がものすごく綺麗に見えるのです。天の川や流れ星もくっきり。

ルワンダ農村部の星空。東部県ンゴマ(Ngome)郡にて(撮影:Kazuki Yoda)

この写真は同じ東部県のンゴマ郡というところで撮影されたものですが、私の家からでも晴れていれば同じくらい綺麗な星空を眺めることができます。我が家を訪れたロマンチストな友人は、無数の星とごく稀に遠くで揺らめく車のライトとの共演を見て、「天空の城」と評しておりました

そんな農村部の景色も数年経てばキガリのようになり、この辺で泥まみれになっている子どもたちも綺麗な服を着て「♪Let it go~, let it go」と歌っているかもしれません。

ルワンダ農村部の星空。東部県ンゴマ(Ngome)郡にて(撮影:Kazuki Yoda)

この国が5~10年後に、どうなっているのか楽しみですが、ルワンダに来る前はアフリカは自分にとって完全に異世界でした。でも、ここに住むようになり、綺麗な星空や月や太陽を見ていると、「朝が来て夜が来て、そのなかで人が生活を営んでいることは世界のどこでも同じなんだな」と思えるようになりました。どれだけ遠い国であっても、ご飯を食べて、遊んで、笑って、寝て、起きて――、という日々の「暮らし」は変わらないんですよね。遠い世界に思えていたルワンダで、美しい夜景と星空を眺めて、日本との違いと共通点を改めて実感した夜でした。

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この記事を書いた人

タケダ ノリヒロ

タケダ ノリヒロ

日本の大手食品メーカーで3年勤務した後、退職して青年海外協力隊としてルワンダの農村で2年間活動。18年夏から当国でスタディツアーを運営。身長と体重と生まれた年がテイラー・スウィフトと同じです。個人ブログ『タケダノリヒロ.com』(月間PV12万)/ルワンダ情報専門サイト『ルワンダノオト』編集長/Twitterはこちら

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