韓国が誇るふたつの夜景都市、「風水のソウル」と「港湾の釜山」

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※本記事は特集『海外の夜景』、韓国・ソウルと釜山からお送りします。

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山に囲まれ水を臨む、風水都市・ソウルの夜景

首都・ソウル。ソウルとは韓国・朝鮮の固有語で「みやこ」という意味をもつ言葉。14世紀末、朝鮮初代王の李成桂により、この地に遷都して以来、600年以上の歴史をもつ都市です。

ソウルは風水地理の観点から選ばれた都市で、そのもとになる考え方のひとつが「背山臨水」。背後に山があり、前方に水がある地形です。王宮の後ろには北岳山(북악산、プガクサン)があり、前方には漢江(한강、ハンガン)という大河が流れています。

王宮の背後には山

もう一つは「四神相応」という地勢。ソウルには北の「玄武」、南の「朱雀」、東の「青龍」、西の「白虎」という、四方の守護神にあてはまる四つの山があり、そこに城壁を巡らせて都城が築かれました。

これらは中国の風水思想に由来するもので、日本の平安京も影響を受けているのではないか、と考えられています。厳密には日中韓でも少しずつ異なるようですが、こういった思想のもとでソウルという都市ができたのです。

王宮である景福宮の門の前にやってくると、背後の山から「氣」の力を受けるようです。夜になると、門がライトアップされて輝きます。風水の影響を受ける主要な山々からは、都心を一望することができ、夜になればネオンにきらめく街を見下ろすことができます。

 

守護神・朱雀にあたる「南山」からソウルを一望

ソウルで最も有名な夜景スポットといえば、南山(남산、ナムサン)。その標高は270.8m。「四神相応」でいうならば、南の守護神となる「朱雀」にあたる山です。

南山の山頂付近には「Nソウルタワー」という名の236.7mの電波塔が建てられており、あわせると480mほどの高さ。市民からは「南山タワー」として親しまれています。

南山にはケーブルカーがありますが、これは韓国随一の繁華街、明洞(명동、ミョンドン)側に乗り場があり、観光客がひっきりなしに訪れます。山頂付近までは市内バスで訪れることもでき、歩いて登っても30分ほどです。

タワーの下までやってくると、ソウルの街並みを一望できます。ケーブルカー側である南山の北側は、朝鮮時代から続く中心街で、ビルや繁華街が美しく輝きます。

いかがですか……!? これが南山から見た夜景です。

南山の山頂付近には、非常時に伝達手段として使われた烽燧(のろし)台があるほか、都を守るために築かれた城壁が残っています。

この城壁がソウルを取り囲む

この城壁は、漢城(現在のソウル)に都が移された朝鮮時代初期(14世紀末)に作られたもの。南山のほか、仁王山北漢山駱山の四つの山をつなぎ、約18キロにも及びます(現存している城壁は7割ほどです)。南山をはじめ、これらの山々に訪れれば、ソウルが山に囲まれた都市であることを改めて確認できるのです。

ちなみにNソウルタワーは、カップルたちが「愛の鍵」といわれる南京錠をかけ、永遠の愛を誓いあうパワースポット! 多くの人は「風水の地」とまでは意識してはいないでしょうが、この山に潜在的な力があるのかもしれません。

おびただしい数の南京錠がメッセージとともに掛けられていますが、このカップルたちは今どうしていることやら……!?

 

治水に悩まされた清渓川、今は都心のオアシスに

「背山臨水」で前方に水を臨むという地形は、漢江もそうですし、清渓川(청계천、チョンゲチョン)もこれにあてはまります。清渓川はソウル北側の中心街を流れる全長10キロ強の河川で、都心を抜けたあと、漢江へと注ぎます。

この川は朝鮮時代、雨が降ると汚水が街に氾濫したため、歴代の王たちは治水に悩まされてきました。しかし、朝鮮戦争の休戦後、高架道路建設による蓋がけ工事を経て、のちに大統領となる李明博ソウル市長(当時)の公約が実現し、2005年に親水公園化されました。これにより清渓川は、夜の景色も美しい市民の憩いの場となったのです。

普段も場所によってはライトアップされますが、特に注目される時期は、11月のソウルランタンフェスティバルが行われる頃。色とりどりの様々なランタンがやってきて、この川に設置されるのです。

 

ギネス登録の「世界一長い噴水橋」、盤浦大橋の夜景

ソウルの北と南を二分するように流れる川が漢江。全長514キロにも及び、ソウル市内での幅は広いところで1キロを超えます。個人的にはこのどっぷり感に魅力を感じるのですが、休日になると老若男女問わず余暇を過ごしにやってくるなど、ソウル市民にも愛されている川です。

漢江にかかる橋はソウル市内に21本。ライトアップされている橋も多く、ひとつひとつに趣きがありますが、代表的な橋のひとつが、盤浦大橋(반포대교、パンポテギョ)です。

この橋に設置された噴水の長さは1140メートルにも及びます。漢江の水をポンプで吸い上げて、橋から一気に噴き出すのです。「世界一長い噴水橋」としてギネスブックにも登録されるなど、漢江の観光名所となっています。噴水は冬季を除き、正午および夕方から夜までの決められた時間、音楽とともに水が噴き出されます。

 

釜山の夜景スポットは有名なのに人が少ない穴場!

釜山は1976年の日朝修好条規により、開港した港町です。開港以前は小さな漁村であったことや、釜山駅近くに小規模ながらもチャイナタウンがある点は、同じ港町である横浜や神戸に似ているかもしれません。

現在、釜山港は海上輸送の中継点となるハブ港としての地位を確立。コンテナ取扱量も中国やシンガポールの港に次いで世界で第6位となりました。日本からも釜山を経由し、世界各地へとコンテナが輸送されます。物資だけでなく、博多や下関、対馬からの旅客船もやってきます。

釜山は海のイメージが強いのですが、実は山に囲まれた都市。釜山の半分以上は山ともいわれており、300m~800mほどの低山が点在し、斜面に家々が立っている場所さえあります。海に面した釜山もまた「背山臨水」とも言える土地が多いといえるでしょう。

そんな釜山屈指の夜景スポットといえば、荒嶺山(황령산、ファンリョンサン)という海抜427mの山。荒嶺山は、地元民なら誰もが知る夜景スポットなのですが、ソウルの南山とは対照的で、ケーブルカーどころか、山頂まで行く公共の交通手段がありません。そのため自家用車で訪れる人がほとんどで、有名なのに穴場スポットなのです。

自家用車がなければタクシーで。釜山の中心街、西面(서면、ソミョン)から3駅ほどに金蓮山駅があり、そこでつかまえて、山に登ってもらいます。距離は5キロほどで、約10分で到着。タクシー料金も5000ウォン(約500円)を超えるくらい。

山頂にはソウルの南山と同様、烽燧台と電波塔があります。最も明るい場所が、西面の繁華街。その背後には500m級の山々が、街の光によって浮き上がっているようです。訪れる人も少ないため、時間の許す限り、静かにゆっくりと夜景を楽しめます。

さて、下山する際はどうするか。タクシーに5~10分待ってもらいましょう。短時間であれば、タクシーの運転手さんにとっても喜ばれるかもしれません。私は車道脇を歩き、約1時間かけて下山。交通量は少なめとはいえ、路側帯が狭い場所もあります。

下山する際、中腹付近までやってくると、東京・お台場のレインボーブリッジにも形が似た広安大橋が見えてきます。こちらの方面は、夏になると海水浴への旅行客でにぎわうエリア。山頂からよりも距離が近く、ここでもダイナミックに夜景が楽しめます。

 

ソウルと釜山の夜景スポット、その対照性にも注目!

ソウルの南山、釜山の荒嶺山という夜景スポットに登って都市を見渡せば、どちらの都市も山々が手に届きそうな場所にあることがわかります。

どちらもメトロポリスの夜景の名所といえますが、南山は外国人観光客がよく訪れる場所で、一方の荒嶺山は地元民しか訪れない穴場。そして、大河を目の前にしたソウルと、海岸を望む釜山。その対照性にも注目したいところです。

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この記事を書いた人

吉村 剛史

吉村 剛史

東方神起やJYJと同年代の1986年生まれ。「韓国を知りたい」という思いを日々のエネルギー源とするも、韓国のオシャレなカフェには似合わず日々苦悩。ソウルや釜山も好きだが、地方巡りをライフワークとし、20代のうちに約100市郡を踏破。SNSでは「トム・ハングル」の名で旅の情報を発信。Profile / Twitter / Facebook / Instagram / 韓旅専科

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