海外の年越しまとめ:「厳かな」正月は日本ならでは? 世界の年越しは騒ぎがち

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明けましておめでとうございます!(1月に見た人向けの挨拶)

海外ZINE、12月のテーマは「海外の年越し」をお送りしました。

1月1日って世界中でなにかしら祝うものだと思っていたのですが、いざ知るとそうでもないんですよね。その国での年の節目(正月)は時期が違っていたり、あるいは宗教を背景としてクリスマスが重視され、年越しはパーティ的な位置付けだったり、改めて自分の勝手な常識が覆されました。

そんな年越しの記事を、中国・上海にお住まいのライター・海辺さんと振り返ります。

水嶋

よろしくお願いします!

海辺さん

よろしくお願いしますー

水嶋

まずは海辺さんの書かれた中国の記事からいってみましょうかね

海辺さん

はい!

電子爆竹に出前シェフ、ITと富裕化で進化する中国の正月(海辺暁子)

  • 中国は旧正月(1~2月頃)を祝う、家族親戚で料理をつくって食べたり、爆竹を鳴らす
  • 昨今の環境保全の流れにより、電子爆竹や爆竹アプリなどが登場
  • 富裕化が進み、家にシェフを呼んで料理をつくってもらう家庭も
  • 中国版紅白歌合戦の「福」という人文字がすごい

水嶋

上海という都会に住んでることもあって、まさに変わりゆく中国! って感じでした


海辺さん

今の中国はおもしろいですよね、電子マネーもすごい普及してるし


水嶋

そうなのですか


海辺さん

一週間現金を使わないこともありますよ


水嶋

すごい、今度それ書いてください


海辺さん

分かりました

海辺さん

買った電子爆竹の使いどころに悩んでいます


水嶋

え……うーん、騒ぎたいときしか使えないもんなぁ


海辺さん

爆竹に対する意見を周りに聞いてみたら、出身地によって全然違うんですよね。これまとめるの大変でした


水嶋

中国広すぎますもんね、今の共産党一党制もそうでもしなければまとまらないという話を聞いたことがあります

中国の正月が「IT」と「富裕化」で超進化? 爆竹アプリや出前シェフなどの新商品も

 

除夜の鐘にとんど焼きまで! 似ているようで違う韓国の年越しとお正月(吉村剛史)

  • 韓国の正月は日本に似てる。凧揚げ、お年玉、お雑煮、すごろくなど
  • 中国と同じく旧暦元旦を祝う、でも新暦は除夜の鐘を突く。ただし108ではなく33
  • 数え年なので元旦に歳をとる。その際にお雑煮を食べるので、「年をとる」ということを「お雑煮(トックッ)を食べる」と呼ぶ

海辺さん

実は韓国好きなんですよ


水嶋

あ、そうだったんだ。どのへんが?


海辺さん

まさに記事に書かれているように日本と似ているようでどこか違うところ、パラレルワールドのようで惹かれます


水嶋

台湾もそうですね、歴史上無理もないけど。まったく知らない文化の国より、接点が多いだけに気になりますよね

水嶋

韓国でも初日の出を見るって話なんですが、シェムリアップで年越しを過ごしたことがあって、カウントダウンのときは欧米人ばかり。それからちょっと寝て初日の出を見に行ったら日本人ばかりで、こうキッパリと別れるんだと驚きました


海辺さん

あ、私も、ハワイに行ったとき、サンセットで欧米人がすごく盛り上がっていたんですよ。日の出と日の入り、どちらを大切にするのかも国によって違うのかもしれないですね

似ているようで違う韓国の年越しとお正月、「除夜の鐘」に「とんど焼き」も

 

大晩餐会に5階からのゴミ捨て大会!? イタリアの正月は大騒動(鈴木圭)

  • イタリアは美食の国、大晦日はたくさん食べる「大晩餐会」
  • 縁起物として赤い下着を身につける、年末の街中では至るところで赤い下着が売られる
  • ナポリの年越しは下手すりゃ大怪我! 戦場さながらの爆竹、5階から家具が降ってくる

海辺さん

お正月はイタリアで過ごそうかと半ば本気で思ってました


水嶋

え、ほんとに?


海辺さん

いやもうだって、イタリア料理って美味しいじゃないですか


水嶋

そっちか! あー、でも私、そんなに美食のイメージなかったんですよ。言われればそうだけどってくらいで


海辺さん

そうですか? 私はグルメ推しのイメージありました

©Twice25

海辺さん

赤が幸運を呼んだり、爆竹を鳴らしたり、中国と似てますね


水嶋

爆竹の動画は見ました?


海辺さん

見ました! やばすぎでしょう。レベルが違いました


水嶋

ですよね……あれは、まさしく戦場さながらですわ

こちらがその動画。

イタリアの正月は大晩餐会、年が明けると空から家具が飛んでくる!?

 

新暦は火災で旧暦は水難! タイの正月は死者も出るほど盛り上がる(高田胤臣・ずんこ)

  • タイのテレビ局のカウントダウンは全部時間がズレてる
  • カウントダウンはカウントダウンで飲めや歌えや大騒ぎ
  • 騒ぎすぎて燃えたり事故ったりしてよく人が死んでしまう
  • 本番はやっぱり旧正月の水かけ祭り! たまたま来ていたマット・デイモンも容赦ない市民制裁(??)に

海辺さん

カウントダウンはバラバラって、適当な感じが大好きです


水嶋

タイってアジアの国では発展している印象ですが、良い意味で詰めの甘さが出てますね


海辺さん

ソンクラーン(水かけ祭り)も話には聞いていましたが、想像以上に激しそう


水嶋

私も一度参加したことありますが、楽しすぎてテンションおかしくなりますよアレ

水嶋

マット・デイモンは災難だったなぁ、ぶっかけた人があとになって彼を知って、「俺はマット・デイモンに水をかけたことがあるんだぜ」って武勇伝みたいに語ってたらおもしろい


海辺さん

マット・デイモンからするとイラッとしますね(笑)

タイの正月は「死ぬ」ほど盛り上がる、1月は火災で3月は水難?

 

肉が主食のアルゼンチン、年越しは「ヤギの丸焼き」と「キスタイム」(奥川駿平)

  • アルゼンチンの男、モテる条件は「美味い肉が焼ける」
  • 年に2~3度しか使わない「すごい肉焼き器具」がある
  • 大晦日の食事のあとはドミノや椅子取りゲーム、あと踊る
  • 新年を迎えたらキスと抱擁

海辺さん

もう、わー。なんか、わー。ヤギの姿焼きは強烈ですね


水嶋

私もこういうの(住んでいる)ベトナムで見慣れてしまっているのかもしれません


海辺さん

ヤギの理由が「豪勢だから」というシンプルな感じがおもしろいです


水嶋

文化の理由って、意外とシンプルだと思うんですよね

海辺さん

これだけ肉が出たらマテ茶必須ですね


水嶋

うん。奥川さんの記事にはだいたい「肉」か「マテ茶」が見え隠れしています


海辺さん

肉を美味く焼ける男性がモテるというのは、一昔前の日本の味噌汁を美味くつくれる女性みたいなものでしょうか


水嶋

ああ、言い得て妙な感じ! 人間の本能に忠実な感じですよね、美味い料理をつくれる人って未来永劫(?)モテますよ

アルゼンチンの主食は肉! 年越しは「ヤギの丸焼き」と「キスタイム」

 

ミャンマーの正月は国民総出の「水攻め」と「罠団子」で逃げ場なし(板坂真季)

  • ミャンマーでもタイと同じく水かけ祭り
  • 年に一度の大騒ぎは、政権による不満のガス抜き説がある
  • 子どもが白玉団子をつくってくれるが、中に唐辛子が入っていることも
  • たくさん騒いだあとはボランティア、若者たちがお年寄りの髪を洗って徳を積む

海辺さん

ふだん物静かなミャンマー人がお祭りでは熱狂する、というところにグッときました


水嶋

ちょっと日本人に通じるところもあるのかもしれないですね


海辺さん

私も物静かな方ですが、きっと輪に入れないで草葉の陰からじっと見てると思います


水嶋

たぶん私も……とか言いながらタイのソンクラーンでフィーバーしたって言ったなさっき

水嶋

でも私、過去に行ったミャンマーでボラれたのでどこかで印象を変えるためにまた行かねばなりません


海辺さん

あら、そんなことが……


水嶋

「ミャンマーの両替は道端で出来る」って聞いて、そのままそうしたら50ドル抜かれたんですよ


海辺さん

両替、路上でやるんですか?


水嶋

少なくとも当時はそういう情報がありました。でも、ガラの悪いところでやっちゃった点が敗因です……勉強代としたら安い方

ミャンマーの正月は国民総出の「水攻め」と「罠団子」で逃げ場なし

 

お菓子と飾りできらめく40日間、ドイツは年越し後もクリスマス(久保田由希)

  • ドイツは年越しよりもクリスマス、なんと期間は40日間
  • クリスマスが近づくとクッキーやシュトレンなどのお菓子が焼かれる
  • クリスマスプレゼントは12月の6日と24日の二回もらえる(ただし24日がメイン)
  • 世界最大規模のクリスマスマーケットが開催、暗く寒いドイツでは楽しみなイベント
  • クリスマスを終えると路上には各家庭で使われたツリーが捨てられ、回収される仕組みに

海辺さん

これは反則! きれいすぎるでしょう


水嶋

なんの反則だ(笑)


海辺さん

クリスマスにかける想いや気合が全然違いますよね


水嶋

ですね、まさに日本人にとっての正月とクリスマスの重要度がひっくり返っている気がします

水嶋

お菓子を焼くとか、カレンダーの小窓を開けていくとか、怒涛のメルヘンだなと思いました。もし私がドイツ育ちなら、成人するまでサンタクロース信じてそうだ


海辺さん

それ、間違いないですね


水嶋

世界各地でサンタクロースって何歳まで信じられてるのかな? 完全に余談だけど

ドイツのクリスマスは年越し後もまだつづく、真冬に煌めく40日間

 

「厳かな」日本の年越し、実はユニーク?

水嶋

海外の年越しを見ていて、日本ってすごい独特だなと思いました


海辺さん

本当にそう思います。基本的にどこも騒ぐ感じで、厳かな正月って日本と韓国くらいですもんね


水嶋

前回の朝食でもそうでした、朝昼夜で食べるものの傾向が決まっている日本も珍しい方に当たる


海辺さん

なにかと少数派なんですよね、いろんな国の価値観を知る中でそう気づいたときはなんだかショックでした(笑)


水嶋

あとおもしろいところで、年越し(正月)を特別視する国々ってアジアに多い傾向がある。世界全体をカヴァーできてはいないけど、欧州や南米などにとっての年越しはカウントダウンパーティ、つまりお祭り騒ぎっていう感じ。一方でキリスト教の影響が強いところはクリスマスを大事にする


海辺さん

それと、やっぱり、どこでも事故とか多そうですね


水嶋

そうですね、日本も日本できっちり(?)、餅を喉に詰まらせて死ぬ人がいるし……


海辺さん

かといってやめられないんですよね

 

次回のテーマは、「海外の夜景」です!

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この記事を書いた人

ネルソン水嶋

ネルソン水嶋

ブロガー、ライター、編集者。2011年のベトナム移住をきっかけにはじめた現地生活を綴るブログ『べとまる』から『ライブドアブログ奨学金』『デイリーポータルZ新人賞』などを受賞を契機に、ライターに。2017年11月の立ち上げから2019年12月末まで、海外ZINEの編集長を務める。/べとまるTwitterFacebooknote

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