海外の家まとめ:家の仕様からその国の気候が分かる? 南国と北国の違いは

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2018年8月は『海外の家』にまつわる話をお届けしました。ベトナム、韓国、ドイツ(ベルリン)、アルゼンチン、イタリア、各国の文化を通して見えてくる価値観はなに? 振り返ります。

どんな時代もどんな場所も、もっといえば人でなくても、動物には家が要る。家には、文化はもちろんですが、それ以上に雨量や気温といった自然環境が大きく反映されるようです。暑い国、たとえばベトナムは熱を逃がすために床はタイル張りが多く、アルゼンチンはシエスタ(昼寝)のためにあえて日光を避けた位置に寝室がつくられることも。韓国はたいていの家に床暖房のオンドルがありますが、同じくセントラルヒーティングが当たり前にある国の人は、「日本の冬は家でも寒い」ということに驚くようです。

 

ベトナムの田舎に泊まろう! シャワーは冷たくも人はあったか【漫画レポ】

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ライター:ムラケン

日本では犬に並ぶ人気がある猫ですが、こちらはペットとしては少数派。最近では都市部でこそ猫カフェがオープンするなど意識も変わりつつありますが、田舎ではまだまだ可愛がられるペットというよりも便利なネズミ取りとして飼われるようで、犬には洋風の名前が付けられることに対して猫は「猫」と呼ばれることも多いようです

ちなみにベトナム料理の味付けにおいては、北部はダシがあることに対して、南部は砂糖やヌクマム(魚醤)を使った後付けのものが多いです。これは、熱帯気候では果物を含めて食材に恵まれているためにダシ文化が発展しなかった、という背景があるのかもしれません。

ベトナムで宴会といえば床で飲み食いすることだそうです。テーブルに座って食べるスタイルも現代になってからということだそうですが、よくよく考えると日本もちゃぶ台からテーブルへと同じような変化をしていると言えるのかもしれません。

 

韓国の家には古今に渡り床暖房、「オンドル」がつなぐ変わらぬ温もり

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ライター:吉村剛史

特にソウルの江南(カンナム、강남)あたりでは、1970年代に「西欧式」の新しい暮らしができるアパートの人気が高まり、1980年代頃まで続々と建設されました。住宅が建設されるとともに周辺には商業施設等の開発が進んだため、利便性も高かったのです。

韓国では家賃の支払いのシステムが独特。それは入居するときにまとまったお金を家主に預け、契約期間のあいだ、家主がそれを運用して家賃をまかなう「チョンセ(전세、傳貰)」という仕組みです。その金額は日本円にして数百万円~数千万円に及びますが、これを納めることにより、月々の家賃は実質無料

そんな寒いなかで部屋に入ると、温もりに全身を包まれてほっと一息。韓国には古代からオンドル(온돌、温突)という伝統式の床暖房があります。現代では床にパイプを通し、ボイラーを利用して水を温めて、床全体に送り込んでいるのです。

薪をくべてオンドルに点火する様子

 

なぜベルリンは集合住宅は100年以上現役なのか? DIY天国ドイツの魅力

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ライター:久保田由希

ベルリンの主な集合住宅は、築100年を超えるものが中心。こうした建物をドイツ語で「アルトバウ」と呼びます。一般的には第二次世界大戦前にできた建物を指す言葉ですが、ベルリンでは1900年前後に建てられたものがほとんどです。

「ボロボロで住めないんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、心配はご無用です。確かに建物自体は古いですが、レンガ造りで丈夫ですし、ベルリンには地震もありません。外壁は塗り替えられています。

プロに頼むこともできますが、ドイツ人たちは自分でできることは自分でやるDIY精神が染みついています。私の家も友人たちが工具持参で入れ替わり立ち替わりやってきて、普通に生活できるまでにしてくれました。キッチンだけではありません。照明器具を取り付けるのも日本のようなシーリングがなく、ドライバーを使って線をつながなくてはなりません

以前の住人が残していったバスルームの洗面台(これもDIYで造られたもの)が使いにくかったので交換。

 

アルゼンチンの家の理想は「絶対暗室」! 移民大国らしい地域色も

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ライター:奥川駿平

2階は嫁のサンクチュアリこと寝室です。アルゼンチンには、シエスタと呼ばれる長い昼休憩があります。シエスタ中は昼寝をする方が多いので、寝室は日光が入らない場所に設計されがち。さらに、シエスタガチ勢の嫁は窓に黒の画用紙を貼り、完全に日光を遮断しています

日本だと進学や就職を機に一人暮らしを始める方が多いですが、アルゼンチンでは同棲もしくは結婚を機に両親のもとを離れるのが一般的。実際に、一人暮らしを経験せずに新たな家庭を持つ方はたくさんいますし、また自身が家庭を持っても常に家族や親戚とは密接な関係にあるのです。

アルゼンチンでは、州によって家の特徴が異なるそうです。例えば、観光地のバリローチェはドイツの影響を色濃く受けた家が数多くあります。その理由は、ドイツ系とスイス系の移民が作り上げた町だから

 

イタリアの家掃除に学ぶ「完璧主義」、だけど入浴は意外とズボラ?

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ライター:鈴木圭

イタリアと日本の住宅の違いを聞かれれば、建物の構造や設備など挙げるべき点は無数にあります。ただ、一番大きな違いとしてまずお伝えしたいのは「家の中が常にキレイに掃除されている」ことなんです!

住宅とは少し話が逸れますが、先ほど話が出たアイロンがけもイタリア人が好きな作業のひとつ。シャツやブラウスはともかく、Tシャツやジーンズ、さらには下着、子供用の服まで毎日ピシッとアイロンをかけます。

日本ではビデは女性が使うものというイメージですが、イタリアでは男女関係なく使います。例えばトイレのあとにお尻を洗ったり、寝る前に足や局部をさっと洗ってお風呂の代わりにしてしまうという使い方が一般的

ローマのシェアハウス

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この記事を書いた人

ネルソン水嶋

ネルソン水嶋

ブロガー、ライター、編集者。2011年のベトナム移住をきっかけにはじめた現地生活を綴るブログ『べとまる』から『ライブドアブログ奨学金』『デイリーポータルZ新人賞』などを受賞を契機に、ライターに。2017年11月の立ち上げから2019年12月末まで、海外ZINEの編集長を務める。/べとまるTwitterFacebooknote

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