2018.02.08

すし詰めワゴンにWi-Fiバス、カオスかつハイテクなルワンダの乗り物

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アフリカの一国・ルワンダ、現地に暮らすひとびとの足はもっぱらバイクと自転車タクシー(!?)。首都と地方をつなぐワゴン車は、乗車率160%を超えるとのこと(電車じゃなくて車です)。そのほか、長距離バスは意外とIT化が進んでいたり。現地在住ライターのタケダさんにご紹介いただきます!

ルワンダ在住のライター、タケダノリヒロさんにご紹介いただきます。

 

ハイエースの乗車率は160%!?ルワンダの交通事情

ルワンダには電車がなく、自家用車の所有率も5%(World Bank 2009年)と低いため、日本の通勤とはかなり事情が異なります。

私が青年海外協力隊として活動していたときは、職場まで徒歩5分。フィールドワークでは自転車を使っていました。道端にヤギや牛がたくさんいるのどかな所です。

協力隊時代の筆者の職場・ムシャセクター事務所。日本で言うと村役場のようなところ。

農村部なので、現地の方々にとって「通勤」と言えば「畑まで歩く」こと。しかし、首都のキガリや別の地方で働いている人たちは、「マタツ」と呼ばれる小型のバスを利用しています。

↑マタツ車内。ぎゅうぎゅうに押し込まれます

ほとんどの場合、トヨタのハイエースが再利用されています。自宅から首都のキガリまで約1時間半乗って700ルワンダ・フラン(100円弱)と安いものの、乗客が好きな場所で乗り降りできてしまうためかなり時間がかかります。

上の写真はまだ良いほうですが、ある時あまりにもぎゅうぎゅう詰めにされるので人数を数えてみたところ、通常15人乗りなのになんと25人……! 乗車率160%です……!

車内があまりにも狭いと走行中こんな顔になります

住み始めた当初は「アフリカは過酷だ……」と思ったものですが、そういえば東京の満員電車も同じようなものですよね

人が多いと嫌だなーと思うのですが、逆に少なすぎても困りもの。なぜかというと、マタツには時刻表がないため、少しでも稼げるように人がいっぱいになるまで発車しないんです。車内に乗って人が集まるのを待っている間に、他の客が待ちきれずに降りてしまっていつまでたっても出発できない……なんてことも。一時間くらい待たされることもざらにあります。

 

これで快適!? マタツの乗り方

車両自体にも問題点はたくさん。あまりにもツッコミどころ満載なため、図解してみました。

助手席が一番快適ですが、それ以外はほぼ問題点しかありません。先日は「運転席と助手席の間の席」に座ったのですが、足元にシフトレバーがあるため運転手さんがギアを入れ替えるたびに「足、邪魔でごめんなさい……」という気持ちになります。まさに肩身が狭い。

「運転席と助手席の間の席」はシフトレバーが強敵

端の席になったら、前の座席と窓の間に膝を滑り込ませてスペースを確保しましょう。

一番左後ろの席。スキマに左膝を滑り込ませてスペース確保。

これで少しだけ足が楽になります。快適に乗るには、「ちょうどいい体勢」を見つけるのがコツ。お試しあれ(※個人差があります)。

マタツはこれだけ狭いので、申し訳程度に付いているトランクにはほとんどものが入りません。入り切らないものは屋根に括りつけるのですが、ベッドのマットレスや巨大なたらい、10kg以上はありそうなトウモロコシなど、「よくそれをバスで運ぼうと思ったな」と思うようなものでも運んでしまいます。そんなワイルドさがアフリカならではですね。

そして、そんなに狭いのに、隣のおばちゃんがニワトリを抱えているなんてことも。

車内にニワトリがいるのもよくある風景。
基本的に手足を縛って運ぶため、バタバタ暴れたりはしないのでご安心ください。

アフリカの近隣諸国の環境を知る方には「ルワンダはまだ良い方」と言われますが、さすがにハイエースに25人+αで何かしらの動物が乗っていたらどっと疲れてしまいます。みなさまも、アフリカのバスをご利用の際は心してご乗車ください。

 

農村部の足は自転車タクシー! って何それ?

続いてご紹介するものは、「自転車タクシー」です。 「自転車」と「タクシー」、二種類の乗り物の名前がくっついているので「なんだそれ?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんね。

自転車タクシーとは、運転手のサドルの後ろにもうひとつ座席がついており、お金を払うことで目的地まで連れて行ってくれる乗り物。ただし、ルワンダは「千の丘の国」と言われるように坂が多いのが難点。急な上り坂では、座席から降りて運転手と並んで歩くことになるのでシュールですが、ゆるい上り坂ではがんばって漕いでくれるので若干心苦しくなります。

きちんとクッションをつけてくれている自転車もありますが、固い荷台のままのものもあるので、お尻に難がある方はお気をつけください。ちなみに、坂が多いだけあってルワンダは夜景が綺麗です。そんな夜景について特集した記事はこちら。

千の丘の国・ルワンダが魅せる満天の星空と都市夜景

自転車タクシーと並んで庶民の足として利用されているのが、「モト(Moto, おそらく”Motor”が語源)」と呼ばれるバイクタクシー。こちらも運転手の後ろに乗ると、目的地まで連れて行ってもらえる乗り物です。

写真、左がモト、中央が自転車タクシー(Photo: Kazuma Matsuda)

料金は10分程度乗って、自転車タクシーが200~300ルワンダ・フラン(約25~35円)、モトが500ルワンダ・フラン前後(約60円)といったところ。自転車タクシーは主にバスが通らない農村部でよく利用されています。モトは都市部にも地方にも供給過剰なほどにあふれかえっていますが、その理由はバイクと免許さえあればできる簡単な仕事だからかもしれません。

ルワンダには「Safe Motos」というUBERのバイク版のような配車アプリがあって、スマホのGPS機能を使ってモトを呼ぶことができます。こちらがその紹介動画。

しかし、あまりにもモトの数が多いので、街中ではアプリで呼ぶより自分の目で探したほうが早かったりします。しかも自分で見つけた場合は値段の交渉が可能なので、距離に応じて料金が設定されているSafe Motosより安くなることも。いいサービスなんですけどね……。

自転車やバイクと、同じか、それ以上によく使われる交通手段がバス。160%という異常な乗車率や車内のニワトリなど、雑な面が目立つルワンダの交通事情ですが、実はスマートに進化している部分もたくさんあるんです

 

電子マネーにWi-Fi!スマートなルワンダのバス事情

こちらがキガリにあるレメラという地区の、バスターミナルの様子。

写真左がキガリ市内で走っているバスで、右に並んでいるのが都市間移動の高速バスです。

ルワンダにはキガリ以外にも、北部のムサンゼや南部のフイエなどの地方都市が栄えており、移動には高速バスが使われています。その車内環境が今、かなり整備されてきているんです。

ルワンダ南部の都市フイエのバスターミナル。客引きをするバス会社のスタッフも多く見受けられます。

ウガンダやタンザニアなどの近隣諸国では、バスの乗客が多すぎてぎゅうぎゅう詰めにされることも多いらしく、ひと席にきちんとひとりずつ座る高速バスを見て「整然としてる!」と驚く訪問者も多くいます

常に靴をピカピカに磨いていたり、アイロンがけをきっちりしたりする、ルワンダ人の几帳面な性格を実感できる光景ですね。

↑乗客が整然と座る高速バス車内の様子

ルワンダのバスは、近年電子化が急速に進んでいます。こちらは「タップ・アンド・ゴー(Tap & Go)」と呼ばれる電子マネー機能付きのバスカード

↑電子マネー機能付きバスカード「タップ・アンド・ゴー(Tap & Go)」

日本で言うと「SUICA」のようなものです。キガリ市内では、2017年初頭から急速にこのカードでしか乗車できないバスが普及して、いまではほとんど現金を受け付けてもらえなくなってしまいました。以前は車内にドライバーの他に集金係もいたのですが、タップアンドゴーカードの普及によって彼らの仕事も減ってしまったようです。「人間が機械に仕事を奪われる」という先進国でも危惧されているような問題を、まさかアフリカで目の当たりにすることになるとは……。

また、「IT立国」を目指しているルワンダで、多くのバスに設置されているものがWi-Fi機能。残念ながらまだ快適に使えるとは言い難い状況ですが、改善が期待されています。さらに、2017年頃から導入された「RITCO(Rwanda Interlink Transport Company Limited)」という会社の高速バスには、充電用のUSBポートが付いていて便利です。

↑最新型の高速バスに付いている充電ポート。ビニールの剥ぎ方が雑。

整然と座る乗客、電子マネー、Wi-Fi、充電ポート……ルワンダの高速バス事情は、日本人の想像する「原始的なアフリカ」のイメージとはかけ離れているのではないでしょうか。

整備されていない部分はまだまだ多いものの、急速に発展しているアフリカ社会。これからどんな変化が起こるのか楽しみですね。

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この記事を書いた人

タケダ ノリヒロ

タケダ ノリヒロ

日本の大手食品メーカーで3年勤務した後、退職して青年海外協力隊としてルワンダの農村で2年間活動。18年夏から当国でスタディツアーを運営。身長と体重と生まれた年がテイラー・スウィフトと同じです。個人ブログ『タケダノリヒロ.com』(月間PV12万)/ルワンダ情報専門サイト『ルワンダノオト』編集長/Twitterはこちら

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