2018.05.28

動物王国オーストラリア! コアラやカンガルーが多すぎて共生は意外と大変?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

動物大国、オーストラリア! コアラやカンガルーなどなど……と思ったら、意外にそれ以外はあまり知らないことに気づきました。でも、もっとたくさんいるんです! ご覧ください、オーストラリアの動物たち、かわいい! と思いきや実は危険で、恐い! と思いきや切なかったりする。ひっくるめて愛らしく感じられてきますよ。オーストラリア在住の上木香奈さんにご紹介いただきます。

 

オーストラリアを代表する動物はコアラではない

観光客にオーストラリアの国獣は何だと思うかと尋ねると、大概の人は「コアラとカンガルーじゃないか」と答えます。これは半分不正解。カンガルーは正解ですが、もう一つはダチョウの仲間の「イミュー」。

こちらがイミュー。1.6~2メートル、人間の大人ほどの大きさの鳥。

固有の動物たちがたくさんある中でそれらが選ばれた理由は、後ろ歩きができない動物だから。二体の動物は、オーストラリアという国が、後退せずに常に前進する国であることを象徴しているのです。

オーストラリアの国章や通貨にはカンガルーとイミューがあしらわれています。

日本では単なる「オーストラリア」として知られていますが、正式名称はオーストラリア連邦(Commonwealth of Australia)。英連邦王国の一国である連邦国の象徴としてイギリス国王から授けられた紋章は、オーストラリア政府や議会、裁判所等に掲げられ、パスポートや官庁施設、通貨などにも使用されています。

オーストラリアの50セント硬貨にもシッカリと。

とはいえ、オーストラリアで一番良く知られている動物はコアラですし、観光客の多くがコアラと触れ合うことを楽しみに遠くから来ることも事実です。そこでここからは、そんなオーストラリア動物界の人気者・コアラの豆知識をご紹介します!

 

あなたの知らない!? コアラの世界

可愛らしいコアラ、実は恐ろしい動物?

オーストラリアに行ったことがない観光客の中には、現地には見たこともない、人を襲って食べるといった、恐ろしい動物が生息しているというような印象を持つ人までいるようです。しかし、そういった極端な怖がりな人たちを余計に怖がらせて楽しむオージーもたくさんいるので要注意。

本当はいないドロップベア。(©Yamavu)

語り草として知られているものは、「ドロップベア」と呼ばれる攻撃的な肉食性コアラ(Drop bears)。しかしこれは、可愛らしいコアラとのツーショットを期待して来るナイーブな観光客を、わざと怖がらせようと作ったとんでもないでたらめ話。「大柄かつ凶暴で、木の真下を歩く人間や動物に突然襲いかかる」といわれますが、真っ赤な嘘です。このように、オーストラリア人は何も知らない観光客を怖がらせてからかうのが好きな国民性なのです

一般的にコアラは草食性動物で、たまたま落ちることはあっても襲ってくるというような事はありませんのでご安心を。こういった話はひどく誇張されているだけで全くのナンセンス。常識を利かして旅行すれば大丈夫です。

 

コアラは2つの州でしか抱っこできない

私の住むクイーンズランド州は幸運なことに、オーストラリアでコアラの抱っこが許されている2つの州のうちの1つに選ばれています。世界で知らない人はまずいない、オーストラリアのスーパー可愛い動物と抱っこができることは至極の動物触れ合い体験! ふわふわしたコアラたちと触れ合えるチャンスは、動物園、サンクチュアリー(自然保護区)などクイーンズランド州に沢山あります。

自然保護区で見られるコアラ。

コアラは熊と呼ばれるが熊じゃない

外国人からは「コアラベア(コアラグマ)」とも呼ばれるコアラですが、コアラはコアラ科コアラ属で現生する唯一の種であり、クマ科の一種ではありません。18世紀後半に移民でやってきたヨーロッパ人たちが、その見た目によりコアラグマ(koala bear)と呼んだことに由来するようですが、分類学上その呼称を使うことは推奨されていません。

コアラはオーストラリア大陸の東半分にしかいない

大陸の北東に位置するクイーンズランド州。

コアラは南アメリカ大陸と陸続きだった太古の頃に渡ってきた動物。そのため、生息分布は大陸の東よりのクイーンズランド州南東・ニューサウスウェールズ州東部・ビクトリア州・南オーストラリア州南東部に渡っており、野生のコアラは一般的には単独性で群れをつくりません。その地域の中でも、熱帯雨林、温帯ユーカリ林、川沿いや海岸地帯、疎林に生息し、ユーカリ類に含まれるタンニンや油分が少ない場所に住んでいるのですが、こちらの理由は後述します

 

コアラがほぼ丸一日寝ている理由は「栄養不足」

コアラの主食はユーカリ、そのほかアカシアや、ティーツリーの葉や芽しか食べません。しかし、現地には何百種類もののユーカリがあるとされ、そのうち食用のものはほんのひとにぎり。さらにコアラは地域ごとに好みのものを匂いをかいで選別して食べるグルメ体質。

ユーカリの葉。

ユーカリの葉にはタンニンや油分が含まれており、人間が食べるには毒素が高く、消化しにくいため大半の動物の餌には適しません。つまり、コアラの身体は消化吸収がほかの動物よりも良いのですが、また一方で栄養素もエネルギーも足りないため、一日のうち18~20時間も樹上で眠ることで体力を温存しているのです。水を飲む必要もなく、これはユーカリの50~70%が水分であるため。「コアラ」とはそもそも、先住民であるアボリジニの言語で「水を飲まない動物」という意味なのです

なお、地上に降りることは稀で、移動の際には数メートルほどなら樹間を飛び移ることもできます。ただ少し鈍い所があり、落ちて骨折することも多いようです。義理の父の話だと、昔、夜中にトラックを走らせていると、どしっとする音と共にコアラが木から落下し、ケガをしていたのでそのまま獣医の元へ連れて行ったことがあるそうです。

落下したコアラに注意! の警戒標識。

コアラの抱っこは「防弾チョッキ」着用必須!?

コアラを抱っこする私。少し分かりづらいかもしれないですが、実は衣服の上から、しっかりとした緑色の防弾チョッキを着ています。かわいらしいコアラの顔からは想像がつきづらいですが、その爪は鋭く危険。それは樹上をしっかりと掴むためなのですが、その鋭い爪に引っ掛かれると、ひどいときは300針は縫う大ケガをします。飼育担当者もユーカリの葉をうまく食べさせて気を紛らわせつつ、私の肩を木であると錯覚させながら、ものの数秒で撮影していました。

こちらは野生に近いコアラでしたが、クイーンズランド州の動物園ではコアラとの写真撮影は商品化されたサービスのため、コアラたちも慣れているようで防弾チョッキは不要です。

とはいえ、やはりストレスはたまるようで、4人分の撮影を終えたら次のコアラに交代、コアラが怖がらないようになるべく動かない、香水の匂いが強いとダメ、と色々なルールはあります。また、不安を抱くとその感情がコアラにも伝わるようで、嫌がられてしまいます。私の母親は4匹ほどのコアラを交代しては挑戦しましたが、結局写真は撮れませんでした……。

 

あなたの知らない!? カンガルーの世界

さて、ここからはコアラに並んでオーストラリアを訪れる理由の一つになっている、大人にも子供にも人気のカンガルーの豆知識をご紹介します!

 

オーストラリアは田舎に行けば野生のカンガルーにすぐ会える

オーストラリアの代表的な動物のカンガルー。普段の生活でも一番馴染みが深く、動物園はもちろん、ちょっと都会から離れるとすぐに野生のカンガルーを見かけることができます。体長は小さいもので25cmから大きいもので180cm、人間と同じく大小さまざまです。毛色も明るい赤茶が一番多いのですが、灰色や黄色っぽい茶、黒色などもおり、季節や年齢によっても変化します。また、オージーはカンガルーとは言わず、ルー(Roo)と呼んでいます。

また、子供のカンガルーはジョーイ(Joey)と呼びます。餌を食べるとき、その両手を餌を与える手に置いて、体重をかけてくる形で食べる姿勢がとってもかわいいです。

 

カンガルーは親からボクシングの英才教育を施される

野生のカンガルーのケンカは良くあることで、車の走行を邪魔するニュースは良く見かけます。尻尾を使って身体を支え、両手を器用に繰り出して殴り合う姿はまるでボクシングのようです。特に発情期には、オスはメスに寄り添って交尾のタイミングを図っており、そこに別のオスが近寄ろうものならば、上半身を大きく見せるポンピングの動作で威嚇して、それでも離れない場合には殴り合い。

近年では、住宅地域でカンガルーによるボクシングが目撃されています。他の動物と同じく一番強いオスが群れを率いるので、オスのカンガルーたちは幼い頃からボクシングの英才教育を施されます。大きいカンガルーになると身長180cm、腹筋が6つに割れていて、遠くから見るとジムに通う大男に見えるものまでいます。

 

スーパーで普通に売ってるカンガルー肉、食べてみた感想は?

スーパーで買えるカンガルーの肉、味の第一印象は鹿肉や馬肉に似ているという感想。オーブン焼きの調理をしたことがありますが、正直ケモノ動物臭いです。でも味は濃厚で、食感はきちんと調理すれば食感も柔らかい。挽肉に加工されて売られているほど一般的。脂質が少なくタンパク質が豊富なのでダイエットに向いているかもしれません。ただやはり慣れていないせいか、私はオージービーフの方が好きですね……。

 

田舎でカンガルーは「害獣」扱いの嫌われ者

田舎をドライブしていると、横になって死んでいるカンガルーを多く見かけたり、また車に跳ねられて死亡したというニュースをよく見ます。カンガルーと車との衝突は日常茶飯事で、もともと夜行性でヘッドライトやエンジンの騒音に反応して飛び出してくる傾向があり、車を避けるのではなく近寄ってくる習性を持つのです。

各所で見られるカンガルーの警戒標識。

体重が重いため、時速50キロくらいで衝突すると小型車だと大破、大型車でもエンジンが壊れたり転倒したりと事故が絶えません。そのため、オーストラリアにはいくつものカンガルー注意の警戒標識が見られ、衝突被害を最小限に食い止めるため前後にルーバーを取り付ける四輪駆動車も見かけます。

あまりに頻度が高いので、田舎の人にとってカンガルーは見かけたら跳ねるしかない害獣扱い。また、車に跳ねられ苦しんでいるカンガルーを見かけたら、轢き殺して苦しみから解放させてあげるしかないという話まであるという、少し可哀そうな現実。

 

カンガルーやコアラは何故オーストラリア大陸にしか生息しないのか?

コアラやカンガルーといったの多くの有袋類たちは、世界でもオーストラリアを除いて他に類は見られません。カモノハシ(platypus)やハリモグラ(echidna)等の産卵哺乳類も同様です。そもそも有袋類たちは、オーストラリア大陸、南アメリカ、南極の三つの大陸が全て繋がっていたころに南アメリカから渡ってきました。

©Christopher R. Scotese

次第に大陸は分裂し、南アメリカが北アメリカと地続きになると、南アメリカに存在していた有袋類たちは北アメリカからの真獣類に襲われ、絶滅。

それに比べてオーストラリアは長い間孤立化した大陸であったため外部からの危険に晒されることもなく、有袋類は繁栄を続け、4500万年もの年月を経て現在のように進化しました。

 

かわいいばかりじゃない、オーストラリアの超危険な動物たち

オスなら6~7メートル、数トンレベルのアゴの力で潰される海水ワニ

「ドロップベア」のように怖い動物の話はでまかしだと前述したものの、本当に危険な動物もいるので油断大敵です。大陸の北の方には海水ワニ(saltwater crocodiles)が生息しており、その名前に反して、海水に限らず淡水にも潜み、うかつに自然の多い場所や国立公園等で泳げません。

オスなら6~7メートルと、とにかく体が大きく攻撃的で数トンの力で噛んできます。主に小さい爬虫類、魚、亀や鳥などを餌にしますが、野生の豚や牛、馬などの家畜も飲み込んでしまい、毎年地元住民の一人や二人は、「危険入るな」の警告看板を無視して泳いで襲われて亡くなったというニュースを目にします。

散々怖い話を聞いた観光客は、きっと寄り付きもしないのかもしれません。危険ゾーンは大概は近くに注意をよびかける標識が立ててあるのでそれらに気を配りながら、川沿いや水が流れずに滞っている淀(よど)などに近寄らなければ大丈夫!

そして、そんな海水ワニ以上に、地元でも一番恐れられているのがブラウン・スネーク! 体長約1.5~2メートルの茶色の毒蛇。オーストラリアには約170種もの蛇が生息する中、この蛇は動きが速く攻撃的で、なにより短気。世界で二番目に強力な毒を持つと言われ、年間4~6人は犠牲になり亡くなっています。

人口密度の高い地域を好み、ネズミのいる農村地域に多く出現。攻撃態勢に入ると立ち上がって体がSの形に変形し、その大きな口を開けいつでも襲える捕食態勢に入ります。咬まれると麻痺状態になり、ものの数分で倒れてあとは「死」です。田舎やファームステイ等を予定されている方は注意! ただ、都会や良く整備された国立公園に行く場合は何の心配もありません。

そのほか、雨季に現れる毒を持つハコクラゲやオコゼ、またホオジロザメの被害も絶えません。海を泳ぐときにはくれぐれも目印の旗を注意深く見てください。

オーストラリアに観光で来られた際は、有名観光スポットやビーチを訪れるのもいいけれど、国立公園やアウトバックの大自然の中を歩きながら、動物を観察したりする旅行もお勧めです。かわいいばかりじゃないけれど、きちんと気をつけていれば大丈夫。自然との一体化が感じられるのはオーストラリアならではの醍醐味です!

  • ※当サイトのコンテンツ(テキスト、画像、その他のデータ)の無断転載・無断使用を固く禁じます。また、まとめサイトなどへの引用も厳禁です。
  • ※記事は現地事情に精通したライターが制作しておりますが、その国・地域の、すべての文化の紹介を保証するものではありません。

この記事を書いた人

上木 香奈

上木 香奈

オーストラリア在住4年半。子供時代を日本とアメリカで過ごし、大人になって世界を飛び回る機会が増え、外国の地で多民族や異文化に囲まれる生活。日経ビジネス等で「世界を舞台に活躍する女性」で取材を受けたことも。その後オーストラリア移住、大学院を卒業。現在、再び国際開発の仕事に復帰。オーストラリア人夫とのんびり生活を送っています。人生色々と挑戦がモットー。あまり知られていない現地情報をお届けします!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加